【映画】花のあと  

d0057574_22029.jpg▼動機
期限付きの無料鑑賞券を使うため
▼感想
ダメな若手を支えきった甲本雅裕の底力に敬意を
▼満足度
★★★★★★☆ いいかも

▼あらすじ
女でありながら男顔負けの剣術の腕を持つ以登(北川景子)は、一度だけ竹刀を交えた江口孫四郎(宮尾俊太郎)に一瞬にして恋心を抱く。しかし、以登、孫四郎ともに決まったいいなずけがおり、以登はひそかな思いを断ち切って江戸に留学中のいいなずけの帰りを待ち続ける。数か月後、藩命で江戸に向かった孫四郎が自ら命を絶ったという知らせが入る。




▼コメント
主演女優をはじめとする若手俳優陣の棒読みにも程があるお芝居には心の底からゲンナリさせられるが、それを支えるベテランの俳優(主に悪役陣)の好演と、藤村志保による飄とした語り口と、そして何よりも、とても奥の深い人物造詣を見せた片桐才助役の甲本雅裕の好演によって救われた映画。

3月末で期限切れになる無料鑑賞券を使うため、
「シャーロックホームズ」
「花のあと」
の二択でこちらを選んだ。
期待したのは北川景子による「萌え」
実写版「るろうに剣心」にキャスティングされたら、誰がどう見ても「高荷恵」(女狐)役でしかありえない北川景子が「神谷薫」(狸女)役をやると聞いては興味を惹かれずにはいられなかった。
※が、これも「萌えホイホイ」だったわけで・・・

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人の秘密を知ったからには覚悟を決めなくてはならない。それをもって行動を起こすか、知っていることを悟られぬようにするかのどちらかだ。秘密を知られた側は知った側の意思に関係なく、知った側を容赦なく排除しようとする。他人の秘密を知りながら何の心構えもしないのは、戦場を手ぶらで歩くようなものだ・・・。

これは、人生における一つの教訓。
これを知っておかないと、気付いたら自分の居場所がどこにもなかったという事になりかねない。

この映画は、それができなかった一人の侍と、その侍に恋心を抱いた女剣士の物語。
だと思ったいたのだが・・・
これがそれ以上に深い物語だという事に気付いた。

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この映画、結論は動かせない事実として既に定められているが、そこに至る重要な要素のいくつかは「推測」として語られるので、観客の想像の余地が沢山あるのがいいところ。

そのなかで「なぜ孫四郎は腹を切ったか」という部分に、
物凄く心惹かれる私好みの要素があることに気付いた。

孫四郎の失敗は腹を切る程の物ではなかった。
が、孫四郎は全部を自分で被って自刃した。
ここまでが事実。
この先は、片桐才助が以登に報告した部分と私の想像に分かれる。

ではなぜ、自刃したのか?
孫四郎にはまだ逆転の切り札があったはずだった。
が、それを使えばどうなるか。
自分の命は助かるだろう。
そして謀略を仕掛けた相手を失脚させることができるだろう。
だがそれは、
自分の妻の不貞を暴くことになる。

家同士で勝手に決めた婚姻とはいえ、妻は妻。
おそらく孫四郎は「妻を不幸にしてしまう選択肢」は選べなかったのではないか?
自分さえ黙っていれば、それは知られてはいけないところに知られる事もなく、
そして妻が幸せになってくれるのであれば、
それは誰の手によるものであってもよい、
とまで考えたんじゃないだろうか?

ここで更に効いてくるのは、序盤から繰り広げられる女たちの会話。
会った事もない人との縁談に諦めつつも納得はしていない感じのする一連の会話に、
実は嫁ぐ側よりも貰う側の方が、多大な覚悟が必要だったということが伺え、
そして更に、その全てを孫四郎がたった一人で守ったというのに、
加世はこの先もきっと何が起きたのかしらずに暮らすのだろうことが想像できたところに、
空しさとも切なさともつかぬ想いを感じ、

孫四郎という人物の生き様を見たような気がした。


で、何がすごいかっというと・・・

これを気付かせてくれたのは全部、甲本雅裕の影裏のあるお芝居だという所。

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才助は自分で知った事実を自分なりに組み立てて以登に語る。
そのすべてが真実だとは限らないが、
以登にとって一番確かである回答を選んで出したような気がした。
これはエンディングでも明らかになるが、物凄い高い才能だと思う。
きっと才助は、以登が負けたときの筋書きも考えていたに違いない。
恐ろしい・・・

そして、結果として甲本雅裕はたった一人で「才助」「孫四郎」「加世」という3人の登場人物を、直接的にも間接的にも描いて見せた事になるわけで、そしてそれらを若手が個人個人で演出するよりも遥かに高いレベルで見ている側に伝わるって・・・

d0057574_2233211.jpgこれってとんでもなく凄くないか?

今まで甲本ヒロトの弟さんという印象しかなかったが、
この人のこの仕事ぶりを観られただけでも、
この映画を価値はあったと思っている。
映画自体の出来の有無はさておき、で。

≪追記するコーナー≫
「蝉しぐれ」「山桜」に続き藤沢周平映画に憑き物となった感じのする一青窈。
清潔感を失った人なのでもはや使い続ける意味は皆無だと思うのだが・・・
「蝉しぐれ」では歌なし、「山桜」では台詞付の歌と来て、
今回は間奏中に藤村志保による語りが入るという形。
本人の台詞付よりよっぽどいいが、この人の歌はもはや時代劇には合わないと思う。

▼状況
イオンシネマ太田店にて無料鑑賞券で鑑賞
▼観客
50名前後(どうしてこんなに入っているのかは謎だった)

▼対象
物語の裏を読もうと必死になる人は自分なりの筋書きを楽しめるかも
▼見所
ここではあえて「北川景子の殺陣」(二回あり)と言っておく
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by unknown0083 | 2010-03-28 13:20 | 映画

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