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【映画】赤い鯨と白い蛇  

【映画】赤い鯨と白い蛇_d0057574_8491046.jpg■状況
コロナシネマにてサービスデー価格で観賞
■動機
レアものなので
■感想
いい映画でした

■あらすじ
老境を迎えた保江(香川京子)は孫娘・明美(宮地真緒)につれられ息子夫婦の家に向かう途中、戦時中に疎開していた館山の家に立ち寄る。そこには家の持ち主・光子(浅田美代子)が小学生の娘・里香(坂野真理)と二人で蒸発した夫を待ちながら暮らしていた。
まもなくしてかつてこの家に住んでいた女性・美土里(樹木希林)も現れる。
この家は1ヶ月後に取り壊される予定だという。




■コメント
監督は御年78歳になるというせんぼんよしこ監督。この作品が映画初監督とのことです。
そしてキャストは全員女性で、香川京子・樹木希林・浅田美代子・宮地真緒・坂野真理の以上5名のみ。
それぞれの世代の女性達が物語を紡ぎます。

実は、画面には映りませんが他にも何人か登場人物はいます。
保江の息子で明美の伯父・明美の男友達・光子の夫・美土里の夫、そしてこれはシルエットだけ映りますが保江の青春の人。
いないのにいる、いるのにいない、という実に不思議な演出です。

物語は、保江の記憶の旅を本筋にしながら、それぞれのキャストが抱える問題点も浮き彫りにし、それぞれの方法で昇華させていくというものです。
それぞれの悩みにどう対峙するか、そしてどう解決させるか。結構考えさせられます。

この映画に派手な演出はありません。
非常にリアルにそして丁寧に撮られているという印象を受けます。

保江の行動は、呆けてしまっているのかそれとも本気なのか何も入ってこないのか、そんな感じを絶妙に出しており、明美の「ちょっと調子が悪くって」っという台詞で何故か妙に納得するも、いや意外とちゃんとしてるんじゃなかろうかっという想像もかきたて、ベテラン女優というのはかくも凄いものなのだなと感心させられました。
光子役の浅田美代子も、動揺してタバコを吸うときの手の振るえ具合やライターの置き方、美土里に詰め寄られた際の行動の素早さなど、一つ一つがリアルで驚きました。

人が年を重ねた時、何を思い・何を願い・何を恐れるのか?
そんなことを考えさせられるエピソードのなかで、保江の半分も生きていないであろう私が非常に共感を覚えたのは、きっと私も同じことを考えたからだと思います。
「人は二度死ぬ」
色々なところで使われている言葉ではありますが、この映画での使われ方は恐らく忘れることはないでしょう。

全てが優しく、観た後清々しい感じになる映画でした。

≪独り言コーナー≫
保江の夫(つまり明美の祖父)の存在がきれいに消えているのが気になりました。
保江が森島の名前出すたびに明美は違和感を感じないものなのか、それとも女性というのはそういうものなのか?
色々と考えさせられます。

≪追記するコーナー≫
里香役の坂野真理、なにげなくいい仕事しています。
家にいる時はチョロチョロとスクリーン内を動き回ったり、スクリーンの隅で手持ち無沙汰になっていたりと非常に子供子供しているのですが、これが後半ガラリと変わります。
この変貌振りが女性としてのリアルなんだろうと強く印象に残りました。

■対象
恐らく女性向ですが、男性でも楽しめると思います
■見所
最後の方、海岸での保江と里香の約束のシーン

by unknown0083 | 2007-03-12 19:30 | 映画

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