【映画】俺は、君のためにこそ死ににいく  

d0057574_18444272.jpg■状況
109シネマズ佐野にて通常価格で観賞
■動機
多部未華子が出ているから
■感想
良作です。感想は長くなりそうです。

■あらすじ
太平洋戦争末期、鹿児島の知覧は沖縄奪還のための特別攻撃隊の基地になる。
特攻隊員から母のように慕われていた鳥濱トメ(岸惠子)は、地元で軍指定である富屋食堂を切り盛りしながらも、隊員たちを慈愛の心で見送り続けていた。




■コメント
まず始めに、この映画は戦争映画ではありません。
戦時を部隊にした青春群像映画というのが正しい見方だと思います。
何名かの特攻隊員にスポットを当ててこそいますが、それは大勢の中の一人としてのみ機能しています。
意味深なタイトルや、それっぽいキャッチフレーズ、戦争シーンをクローズアップした予告編や、B'zによるアメリカナイズされた主題歌などから特攻隊に特化した戦争映画のように勘違いされる方が多いと思いますが、まったくそんなことはありません。

物語上の主役は鳥濱トメ役の岸惠子で、彼女の回想として始まる所からそれは分かると思います。
その物語に、板東少尉(窪塚洋介)や田端少尉(筒井道隆)や金山少尉(前川泰之)、中西少尉(徳重聡)といった個々のエピソードを持つ隊員が彩を添えます。

この鳥濱トメ、特攻隊員にとても慕われています。
自らを犠牲して食事を用意したり、あるときは憲兵に刃向かってまで特攻隊員の側にたとうとするエピソードでそれが良く分かります。
物語をトメの視点で描くことで、特攻という悲しい話をただの悲壮感あふれる話にせず「素晴らしい、美しい、若者達」の物語に昇華させていると思います。

トメは劇中で戦争反対や日本の敗戦を口にはしません。
たとえ隊員がそれを口にしたとしても、それに同調することは一切ありません。
彼女はただ、隊員達を見守り、見送る人です。
玉音放送を聞いて泣き崩れはしましたがそれは恐らくこの時代を生きた日本人のごく一般的な反応でしょう。

このような作りになっているため、この映画には戦争賛美も戦争反対もどちらの思想も入っていないと思います。
この映画を観たものが、何を考え何を起こすのか、それは完全に見るものに委ねられている、そんな気がします。

なお、タイトルについてですが、これは特攻隊第1号の関行男の残した言葉を拝借してつけられたものと想像します。
詳しくはWikipediaにありますので、こちらを参照してください。
>>Wikipediaより「関行男


というわけで以下、映画を観たということに対する感想。

一応、ノンフィクション作品を土台にしたフィクション作品ですから、これが戦争や特攻の全てというわけではないと思います。
それを踏まえたうえでの考察です。
劇中に多く登場する「国体の維持」という言葉。
トメの絡まないところで多く使われるこの言葉こそが、脚本を手がけた石原慎太郎の言葉ではないかと思います。
どこの国の領土となることなく、日本という国に誇りを持ち、日本人であることに胸をはることの出来る環境が、いまの日本にはあります。

トメのモノローグで
「戦後、特攻で散ったものは無駄死に、死に損なったものは卑怯者とされ・・・」
という件がありました。
彼女はそれをよしとせず、彼らを忘れないが為に彼らの墓標を知覧の飛行場近くに作ります。
トメは自分が彼らを忘れたら本当に彼らは無駄死にになってしまうと考えたのでしょう。

我々はどうでしょう。
きっと我々も同じだと思います。
彼らが望んだ未来の先に、我々が立っているかは分かりません。
ですが、特攻に限らず、戦争という時代があったことを我々は忘れるべきではないと思います。
それに対して何らかの行動を起こす必要はないと思います。
忘れないこと、それだけでいいのではないでしょうか。


≪感謝するコーナー≫
冒頭でも述べましたが、タイトルと主題歌だけで確実に敬遠してたであろう本作。
多部未華子が出演していなければ絶対に見ることはなかったと思います。
感想本文内に多部未華子の名前は一切出てきませんが、この場を借りて良作に出会えたきっかけを作ってくれたことに感謝します。

■対象
日本人
■見所
知覧飛行場空襲(まさかあるとは思ってなかったので)
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by unknown0083 | 2007-05-19 10:10 | 映画

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