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【映画】そのときは彼によろしく  

【映画】そのときは彼によろしく_d0057574_092740.jpg■状況
イオンシネマ太田店にてレイトショウで観賞
■動機
長澤まさみ観賞
■感想
案の定。

■あらすじ
こどもの頃からの夢だったアクアプランツの店を経営する遠山智史(山田孝之)の前に、ある日森川鈴音(長澤まさみ)という美女が現れる。元スーパーモデルという彼女は実は智史の幼なじみである滝川花梨だった。




■コメント
市川拓司の小説を原作にした映像化作品で面白いと思えるものは今まで一本もありませんでしたので、本作もさしたる期待もせずに観賞を行いましたが、結果は案の定と言った感じでした。

ファンタジーを逃げ口上に、然したる考証もなく作者の都合でのみ進行する物語は、読者にとってどうも気持ちのいいものではありませんが、映画化するにあたり原作にほぼ忠実に脚本化したということで、製作者サイドのやる気のなさが伺えます。

それなりに名のある若手をそろえたであろうキャストは、ふたを開けてみれば長澤まさみと山田孝之および子役3人以外はさほど重要ではなく、トリプル主演扱いされている塚本高史など正直何のために出ているか解らない始末です。
これは、子供時代の物語の方向性と、映画序盤の物語の方向性と、中盤以降の物語の方向性が、それぞれ全然異なるものになっている事が原因だと思います。
正直、この映画に関わった二人の脚本家はどういう意図をもって仕事をしたのか疑問に思います。

物語は大人の時代をメインにしつつ、子供時代の回想シーンをはさむことで進行しますが、子供時代は様々なギミックを用意してリアリティやノスタルジー感を出しているのに対し、本来リアルであるべき大人の時代に全くリアリティを感じることが出来ず、かといってファンタジーにもなりきれていないという非常に中途半端な状態になってしまっています。
それ故に、花梨に与えられた突飛な設定についても、花梨と智史の父だけの間でだけのリアルであって、不思議とそれがスクリーンの外側までは伝わってきません。もう少し夢の中の描写を増やしてファンタジー感を前面に出し、そこがどんなところなのかということを智史の母親(和久井映見)を使ってでも見せる必要があったと思います。

また、丘の上の夕陽に入るシーンにおいて、長澤まさみがシルエットの演技を上手くしているところに何度も山田孝之側の映像を重ねたのは正直無駄だと思います。
「女の行動には全て意味がある」と言った後のシーンですから、花梨のその行動を見て彼女の身に起こる何かを想像させるくらいの気が回らなかったものでしょうか。

ラストシーンもなぜわざわざあのようなシーンにしたのか疑問です。
種のアップ映像のところで切ってしまえば余韻も残り、その後は各自で想像できるいい終わり方だったと思っただけに、その後のシーンが全て蛇足のように思えて勿体無かったです。

稚拙な脚本に蛇足感の残る演出という2つの大きな問題に足を引っ張られ、本来の力を発揮できなかったであろう主演の長澤まさみ。
その一方で、回想シーン担当となる3人の子役達はみな素晴らしく、特に花梨の子供時代を演じた黒田凛は長澤まさみ以上の存在感を見せ付けたと思います。
いっそ子役達をメインにして物語りを作ったほうが面白作品が出来たのではないかと思います。

≪追記するコーナー≫
本作を監督した平川雄一朗はドラマ版白夜行の演出を担当した人だそうで、どうりで子役の使い方が上手く大人の役者の使い方は下手な人なのだと納得。
※白夜行も福田麻由子しか印象にありません。

■対象
長澤まさみファンの人なら許せるのだろうか?
■教訓
女の行動には全て意味がある

by unknown0083 | 2007-06-04 21:00 | 映画

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