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【映画】腑抜けども、悲しみの愛を見せろ  

【映画】腑抜けども、悲しみの愛を見せろ_d0057574_0533949.jpg■状況
MOVIX伊勢崎にてレイトショウで観賞
■動機
チャットモンチー(主題歌担当)にお願いされた為
■感想
思いのほか面白くて驚いた、満足

■あらすじ
両親の訃報を受け、女優を目指して上京していた長女・澄伽(佐藤江梨子)が故郷に戻ってくる。自意識過剰な彼女は、女優として芽が出ないのは家族、主に妹の清深(佐津川愛美)が過去に起こした問題のせいだとし、清深をいたぶる。




■コメント
佐藤江梨子と佐津川愛美の演技に大いなる不安があり観賞を見合わせようと思っていた本作ですが、主題歌を担当するのが私が好きなバンドだったため、主題歌を聞きに行くつもりで観賞したました。
しかし、本編が驚くほど面白くて驚きました。
これほどまでにこの先の展開が楽しみで、終始クスクス笑っていた映画というのも珍しいです。

メインの出演者は4人。
恐らく主役である姉、妹、母の連れ子で血のつながらない兄、兄の嫁の4名。
この4人が繰り広げる少し捻じ曲がったブラックな雰囲気の映画です。
コメディの様でもありますが完全にコメディというわけではありません。少なくともメインキャストはコメディのつもりで演技はしていないと思います。


自意識箇条で傲慢不遜、自分には女優の才能があると勘違いしている長女・澄伽に佐藤江梨子をキャスティングできた時点で、この映画はほぼ完成です。
佐藤江梨子の水準以下の演技力を逆手に取り、それに彼女が見事に答え、期待通りの水準以下の演技での熱演が、澄伽というキャラクターを強烈に印象付けます。
妹に八つ当たりし苛めぬくシーンのみが、あまりにもリアルでとても演技とは思えない出来のよさという演出もまた然り。
恐らく、これ以上の澄伽は他の人には出来ないのではないかと思います。

一方、苛められる妹・清深役の佐津川愛美もまた好演です。
姉の暴挙に耐えながらも、腹に一物を抱える彼女はそんな姉の行動を逆手に取ります。
何かを企んでいる時に消える瞳の表情。自動的に動いているかの様な指。時折不敵に上がる唇。怖いです。正直まったく演技とは思えませえん。彼女の素の部分なのではないかと疑いたくなるほどに。

この対照的な姉妹に感情移入する余地はありません。
それは、兄にしても嫁にしても同じです。徹底的に感情移入をさせる部分を排除しています。
なのでこの映画は客観視点で観る映画だと思います。
※誰かに感情移入してしまうと、この映画は恐らく相当厳しい映画になること請け合い

和合家の調和を崩す澄伽の行動とそれに伴う余波の類を一歩引いたところで観ることができれば、終始クスクス笑っていられる非常に良質な映画であると思います。
本編には全く期待していなかっただけに、その出来のよさに驚きました。
※スタッフロールが意外と短く、エンディングテーマが途中で切れたのはとても不満ですが。

≪追記するコーナー≫
何一つハッピーエンドではないのですが、ラストシーンのおかげで妙に清々しい気持ちで映画館を立ち去れます。

≪さらに追記するコーナー≫
あとで調べたのですが、原作は舞台のようで、なるほどそういう風な演出だったのかと感心。

■対象
暇があったら観賞をお奨め
■見所
佐津川愛美と永作博美

by unknown0083 | 2007-07-07 21:35 | 映画

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