【映画】シルク  

d0057574_20441115.jpg■動機
5ヶ国共同制作映画に何故か入っている「芦名星」
■感想
台詞ないし・・・
■満足度
★★★★☆☆☆ そこそこ

■あらすじ
1860年代のフランス。蚕の疫病が発生したため、軍人のエルヴェ(マイケル・ピット)は美しい妻エレーヌ(キーラ・ナイトレイ)を残して、日本へと旅立つ。幕末の日本に到着したエルヴェは蚕業者の原十兵衛(役所広司)が連れていた、“絹”のように白い肌の少女(芦名星)と出会う。以来、エルヴェは少女が頭から離れなくなってしまう。




■コメント
要するに不倫映画だった訳だ。
はっきり言ってしまうと。
いかにプラトニックだ遠距離恋愛だと純愛風味で味付けし、幻想的な美しさまでを醸し出してまでオブラートに包もうが、不倫は不倫。
そこに感情移入できる要素は皆無。
しかもダブルと来るからなお性質が悪い。

色々と見誤っていた部分はある。
そもそも日本は鎖国中なので基本的に行き来は難しく、こう何度も往復するような映画ではないと思っていた。行ったきり帰れなくなる話(「木綿のハンカチーフ」のような)かとも思っていたし、もし帰れたとしてもラストに帰るくらいの話(「異邦人」のような)かと思っていたので、期待と違う部分があったと言うことは否定しない。
ただ、どう考えてもこの旅の安易さは頂けないだろう。色々な移動手段を使って日本へ向かったとは言うものの、全く"遠路遥々感"がないのは正直どうかと思う。

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西洋では蒸気船が走り鉄道も敷かれている時代に、日本ではまだ刀を刺していたという時代のギャップは見ていても面白いし、殊更に強調される西洋の森と日本の森の違いなど、見ているだけでわくわくするようなそういう部分は確かにある。
また、事あるごとに「イエローモンキー」と卑下される黄色人種のその肌を、"絹の様に白い~"と表現したあたりは好感が持てたりする。
※「日本人じゃない」の件は完全に蛇足だと思うが。
だからと言って映画本編が面白いかといわれれば話は別だったりする。

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劇中を包むのは歪んだ愛の形。
愛する妻がいながら遠く異郷の少女に心奪われるエルヴェも歪んでいるし、どのタイミングで惹かれたのかよく分からなかったが、その時代にはどう考えても得体の知れない風貌をした外国人に惹かれてしまう少女も歪んでいる。
だが、もっと歪んでいるのは役所広司演じる原十兵衛。自分の妻と互いに惹かれあう男に対し、別の女を抱かせるよう自分の妻に仲立ちさせるなんて完全に歪んでいる。
しかしこの物語にはもっと上がいる。
それは手紙の差し出し主。あの文章で一体何をしたかったのか。綺麗な言葉で綴られたとても残酷な文章だ。手紙の真相をした時、あの美しい言葉が全てエルヴェを縛る呪いのように聞こえてゾッとした。

d0057574_2051257.jpg主人公の過去語り形式で進む本編。
てっきり主人公が独白しているものかと思っていたが、ラストにその話を聞かされている少年がいることが判明して驚いた。
聞く前と聞かされた後で態度の代わる少年の何気ない仕草の一つ一つが、この物語を観てきた人間の感情を代弁しているかのようで、とても共感した。
少年はもう来ないだろう。

≪日本人俳優に一言づつコーナー≫
幕末の闇商人には全く見えなかった役所広司。だがもっと凄い何物かに見えた。
中谷美紀のマダムなコスプレにはぶっ飛んだが三度目の衣装は似合っていた。
國村隼は大した役じゃなかったが凄い存在感だった。
もっと大した役じゃなかった本郷奏多。古き日本の慣わしに泣かされた。
逃げなかった芦名星に天晴れ。台詞がなかったのは意図的なものかそれとも・・・
異邦人の捧げものになった名も無き女優にも天晴れ。
そうそう、役所広司と中谷美紀いつの間にあんな流暢な英語をマスターしたのだろう?

≪追記するコーナー≫
せめて不倫要素をもっと薄く、例えばエルヴェとエレーヌの関係を結婚の約束をした幼馴染とか、芦名星を役所広司の娘にするかしてくれれば、ちゃんと楽しめたんじゃないか、っと思わなくもない。
ところで、この映画はカナダ、フランス、イタリア、イギリス、日本の一体どこの国が撮ろうと言い出したのだろう?絶対に日本じゃないことは確かなのだが・・・

≪蛇足するコーナー≫
キャストの漢字名称が知りたくて公式ページを見たら、映画の内容の殆どが記載されていた。行く前に観て「これで6~7割かぁ」と思った人は観賞後に相当にびっくりすること請け合い。
観にいくつもりのある人は公式ページを見ないで行く事を強く推奨。
たとえ見たとしても「STORY」だけは開けぬようご注意。

■状況
MOVIX伊勢崎にてサービスデー価格で観賞
■対象
どういう人向きなんだろう・・・
■見所
フランスと日本の山間部の映像とその違いを"strange trees"の一言で表現したその詩的センスの良さには脱帽。
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by unknown0083 | 2008-01-20 14:50 | 映画

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