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【映画】潜水服は蝶の夢を見る  

【映画】潜水服は蝶の夢を見る_d0057574_22351925.jpg■動機
なんとなく、観ておいたほうがいいかなっと
■感想
合わなかった。
■満足度
★★★☆☆☆☆ あんまり

■あらすじ
昏睡(こんすい)状態から目覚めたものの、左目のまぶた以外を動かすことができないエル誌編集長ジャン=ドミニク・ボビー(マチュー・アマルリック)。意識ははっきりしているにもかかわらず言葉を発することができない彼に、言語療法士のアンリエット(マリ=ジョゼ・クローズ)はまばたきでコミュニケーションを取る方法を教える。




■コメント
Locked in syndrome(閉じ込め症候群)になってしまった作者が、20万回の瞬きのみで綴ったというこの自伝を元に映像化したもので、原作は未読。
様々な映画賞を取ったらしく、タイトルの前にズラリと映画賞の名前が並ぶ。
世界中から大変評価され、多くの人間を感動させたであろう作品を見てきたのだが・・・

合わなかった。
映画が悪いわけではない。
自分が映画に合わなかった。

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原因はハッキリとしている。
序盤から多く使用された主観視点。
あの視点で映像を映されると、まるで自分がその立場におかれた様な気分になってしまい、本当に体が動かなくなってしまったのではないかという錯覚を起こす。
その結果、何度もゴゾゴゾと動き、ちゃんと体が動く事を確認しながら観賞するという有様になってしまった。
このLocked in syndrome を疑似体験させるという事が、この映画としてはそこにかなりのウェイトを置いていることは明らかで、それは間違いなく成功しているといえる。
が、それが肌に合うかどうかというのはちょっと別問題と言わざるを得ない。

のだが、ここに文句をつけるということは、コメディ映画の笑いに、あるいはホラー映画の恐怖に対してケチをつけているようなもので、つまり、その主幹映像が肌に合わないというのはもう、映画がダメとかそういうことじゃなくて、自分がこの映画を見るべき人間じゃなかったということだ。
大げさに言うのならばきっとそういう事なんだろう。

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私には合わなかったが決して悪い映画ではない。
ある人は絶望の淵に追い込まれた主人公のその生きる力に、ある人は献身的に彼を支える家族の愛情に、またある人は諦めずにコミュニケーションをとり続けた言語療法士の姿に、またある人は彼の瞬きを根気良く文字に変えた出版社の女性社員の姿に(言語療法士と本の記録の人は別人だと思っている)、それぞれ感動できる人はいるだろうとは思う。
感動するというか、感銘を受けると言った感じだろうか。
そういう人がいるだろう事は、なんとなく分かる気がする。

それ以外にも、本人の心の声や、ちょっとしたブラックユーモアの様なものや、ちょっとエロチックなシーンなどがチラホラ入ったりと、単調になりかねない主幹映像中心のこの映画を、そうはならないように工夫をしているのが見受けられる。
音楽についても、予告編でも流れていたちょっとブリティッシュ系のウェットなロックが、この映画の雰囲気に非常にマッチしていて良い感じだったと思った。
しかしながら、ずっと観ているとやはり自分の体が心配になってきてしまう始末。
全く集中できない有様だった。

主人公の不自由さを演出する上で、主観視点は確かに最良の選択だったと思う。
見終わってなお、あの視点での映像には意味があったと思うし、不自由さを観客に理解させる上でとても効果的だったと思う。
が、それは観客にある種のストレスを与えている事と同意ではないだろうか?
そしてそのストレスは劇中で解消される事はなかった。

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映画のタイトルは「潜水服は蝶の夢を見る」
その名の通り、確かに観客に「潜水服」を着せることには成功しただろう。
だが「潜水服」を着せたら着せたで「蝶」の夢も見せて欲しかった。
結果として、潜水服を着せられたままで劇場から放り出されることになったの残念。
※見終わった後、無性に体を動かしたくなったのは言うまでもない・・・

≪追記するコーナー≫
運転中、前の車に自分の車が映りこんだだけで、どっちにいるのが本当の自分か分からなくなってしまうような私には、主観映像の多い作品はどたい無理な話だったいうことだ。
それが分かっただけでも今回は収穫。
次回からは気をつけよう。

≪蛇足するコーナー≫
人が皆、なすべきを背負って生きているとするならば、Locked in syndrome を患いながらも命を取り留めたのは、この本を執筆させるために神様が与えた猶予の時間だったのかも知れないと、ちょっと思ってみた。
まあ・・・ジャン氏はそれほど信心深くなささげだったので、いい迷惑かも知れないが・・・

■状況
イオンシネマ太田店にてサービスデー価格で観賞
■対象
主幹映像で酔わない人
■見所
年はちょっと行っているがやけに美人揃いの看護師団、それよりももっと美人になりそうな長女、別れても献身的に尽くしてくれる元妻、なんの役にも立たない上に言うことだけはいっちょまえな愛人など、主人公の主観視点だったので女性陣ばかりが記憶に残る。
身代わりになった男性が語る「残された人間性にしがみつけ」という言葉が結構印象的だったが、どうすればいいのかは良くわからなかった。

by unknown0083 | 2008-02-20 21:20 | 映画

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