【映画】クライマーズ・ハイ  

d0057574_22352692.jpg■動機
クライマーズ・ハイならば観ないわけにいかない
■感想
原作を捻じ曲げてまで伝えたかったものは何?
■満足度
★★★★★☆☆ おまけね

■あらすじ
1985年8月12日、乗員乗客524名を乗せた日航機123便が、群馬と長野の県境に墜落、その一報が北関東新聞社に入る。編集部で全権デスクに任命された悠木和雅(堤真一)は記者として扱う一大ニュースに対する興奮を禁じえないが、中央紙とのスクープ合戦や組織や家族との衝突を経て、命の重さに対しわき上がる使命感を覚える。




■コメント
横山秀夫の小説がが好きで、特にこの「クライマーズ・ハイ」という小説は、同じ本はあまり何度も読まない私が、何度と無く読み返している数少ない小説だったりする。
この小説は既にNHKが原作にほぼ忠実にテレビドラマ化しており、そちらは既に鑑賞済み。
という私としては非常に珍しいシチュエーションでの鑑賞。

原作を知っている人間の立場からアレコレ言うのはあんまりフェアじゃないと、過去の鑑賞(特に「チームバチスタの栄光」や「死神の精度」あたり)から学んではいるのだが、原作を知っている映画というのは私にとっては珍しいので、ここはひとつ大目に見ていただきたい。
っという訳で、原作既読(そして思い入れあり)、テレビドラマ鑑賞済み、という人間が書いた感想という事を踏まえて、以下感想。

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「取捨選択を誤ったな」っという感想。

望月が存在しないため、悠木の最後の決断が引き立たず、
悠木の家族がいないため、燐太郎との交流がいまひとつピンと来ず、
悠木の母の話をうまく使うのかと思ったら結局なんの意味もなく、
なによりもクライマーズ・ハイの説明すらちゃんとなされていない。
本当に真面目に書いたんだろうかこの脚本・・・。

またこの映画、非常に緊迫感に欠ける。
悠木の人生の中での"クライマーズ・ハイ"の部分がこの日航機墜落事故を追った数日間という話なのだから、もう少し緊迫したムードでやってもらいたかったのだが、この映画の中で悠木はどうにも冷静(悪く言えばのんびりしすぎ)な感じがしていて違和感を覚えた。
家庭の話が全て割愛されているせいもあるかもしれないが、最低限「降りる」という選択肢さえ"クライマーズ・ハイ"の中の出来事なんだという緊迫感が無ければ、悠木の行動が単なるめちゃくちゃなわがまま人間のようにしか見えなくても仕方ないんじゃないか?
また、望月を割愛しているしているせいで、解雇宣告に説得力がないのも致命的。
とにかく、ラストに向けてどんどんグダグダになる展開にガッカリした。

妙なタイミングで入れた遺書の話はもしかしたらあそこで泣かそうと試みたのだろうか?だとすれば、この脚本家はこの原作の事を何もわかっちゃいないって事になる。

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そして一番の失敗は事故現場を作ったこと
原作において、どうして事故現場の描写がないのかという事をこのスタッフ達は考えたのだろうか?きっと考えてないからこういう物語になったんだろうな・・・
本当に何にも分かってないんかもしれないなぁ・・・。

結局、監督および脚本家達が「クライマーズ・ハイ」という原作を捻じ曲げてまで伝えたかったことは何だったのか?
それが最後まで理解できなかった。
残念。
※そんなこんなだったが、最後のテロップにはちょっと感動した事を付け足しておく。

≪追記するコーナー≫
しかし「クライマーズ・ハイ」という原作から離れればそんな悪い映画じゃない。
山の風景や登山のシーンはさすが映画という迫力があったし、前橋駅と県庁とのライン上に置かれたオフィスビルは新聞社としては最適だと前橋市を知るものには多大な説得力があったし、等々力が若手に語る無線を導入しない言い訳など原作にはないシーンも良い味を出していたり、何よりも元ちとせがエンディングでしゃしゃり出てこないのが最高によかった。
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キャスト的に言えば、
堺雅人が最高の仕事をしていたし、
尾野真千子の「顔が雑のが良かったですか?」には思わず笑ったし、
西田尚美はやっぱりいるだけでほのぼのするし、
っという訳で、満足度はちょっとおまけしてある。
※悠木と安西のファーストシーンで別物というのは一応分かるんで

≪蛇足するコーナー≫
この原作には3本の柱がある。
ひとつは「事故の裏側でおきた新聞記者達の意地とプライド」の部分、
ひとつは「山仲間を通した家族の絆の再生」の部分、
そしてもうひとつは「脈々と受け継がれていく誇りと絆」の部分。
この3本が表の話となり裏の話となり、繰り返しリンクしていく様が面白かった。
それが映画では1本しか扱われていない事に大変ガッカリした、という感じ。

■状況
イオンシネマ太田店にて無料鑑賞券で観賞
■対象
原作読んでない人向け、前橋市在住の方など。
※劇場内には中学生女子3人組や、高校生女子チームが結構おり、その娘たちは何を目当てにこの映画を見に来たのか、こちらが知りたいくらい・・・
■見所
「だから君を利用した」
「飲んだら歌え、酔ったら笑え、話は明日だ」
「今回はお前らの目を借りて見る事にする」
「俺は新聞を作りたいんだ。新聞紙を作るのはもう真っ平だ」
「だったらまた書け」
以上、原作より抜粋した名台詞がひとつも入ってない事かな?
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by unknown0083 | 2008-07-05 17:00 | 映画

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