【映画】百万円と苦虫女  

d0057574_21201748.jpg■動機
間違えて持って帰ったポスターに惹かれて
■感想
暖かな愛情に溢れたいい映画
■満足度
★★★★★★★ まんぞく

■あらすじ
就職浪人中の鈴子(蒼井優)は、アルバイトをしながら実家で暮らしていた。彼女は仲間とルームシェアを始めるが、それが思いも寄らぬ事件に発展し、警察の世話になる。中学受験を控えた弟(齋藤隆成)にも責められ家に居づらくなった彼女は家を出て、1か所で100万円貯まったら次の場所に引っ越すという生活を始める。




■コメント
この映画を知ったきっかけというのはちょっとした偶然によるもので、予てから鑑賞希望だった「パラノイドパーク」のチラシ広告を偶然劇場で発見した時に、喜びつつもいつも通り真ん中あたりからヒョイとつまんで取ってみたら、どういう訳かこの映画のチラシだった、というもの。

公開開始日すらチラシに書いていないいわばダークホース的なこの映画の存在を、忘れっぽい私がきっちりと覚えていたのは、「百万円と苦虫女」という個性的なタイトルとちょっとぼんやりした感じの蒼井優のコラボレーションと、また、2007年の映画「赤い文化住宅の初子」で好印象の残ったままのタナダユキ監督の作品、ということが頭の片隅に残っていたからだと思う。
というわけで、すべての予定をこの映画にあわせて鑑賞を決定。

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これは面白い。
とても面白い。
ゆっくりとした空気が自分の肌に合う。
大きな感動があるわけじゃなく、かといって何もないわけじゃない。
ただそこにいるだけの自分を、どうやって見つめ、認めていくか。
そんな単純で当たり前の事を、ついつい忘れがちになってしまうそういう事を、ふと思い出させてくれるような映画だった。

d0057574_21351758.jpgタナダユキの作り出す空気感と、蒼井優の醸し出す空気感が絶妙にマッチして、なんともいえず不思議な、ゆったりとした空気が肌に合う。
個人的にはそれだけで随分な満足度なのだが、畳や床に"でーん"と横になるシーンや、手製のカーテンを取り付けていくシーンや、なんともなしに通帳を見つめるシーンなど、"印象に残る"というのともちょっと違う、「このシーン好きかも」というようなシーンがいくつもあった。

またこの逃避行を「自分を探さない旅」と位置づけたのにも共感。
「自分探しの旅」って言うのは結局の所「自分から逃げる旅」と同義だと常々思っている私にとって、これを理解して「逃避」しているという事がなんだかとっても嬉しかった。

全体的に「タナダユキが蒼井優を撮った映画」という感じではあるが、よくよく見てみると、見かけからしてぶっきら棒な印象の弓削智久のそのまんまの起用や、10歳も年が離れているくせに並んで歩くとちゃんと姉弟に見える弟くんの存在や、怪しそうで怪しくなかったピエール瀧の存在や、笹野高史のマイクパフォーマンスや、胡散臭さ満点なのに意外といい奴だった悠城早矢などが、いい感じで映画に彩を添えたり緩急をつけていたように思う。

d0057574_21253718.jpgその他、ことのほか森山未来が良くて驚いた。もともと持っていたものなのか、監督の演技指導の賜物なのか、それとも蒼井優に引っ張られたのか。あんなに自然な演技ができる人だとは思っていなかったのでビックリ。
そういえば過去に見た出演作が揃いも揃って芝居がかった演技を要求される作品ばかりだったので、こういう演技を見たのは初だったかもしれない。
これが本来の姿だとすれば、今後要チェックかな?

手紙の行方は「きっとこうなんだろうだろうな」っと思ったとおりの結末で、借金の話も「きっとこうだっからいいな」という結末で、なんだか色々とあったかい感じがして好感。

ラストの解釈は色々ありそうなところだけれど、お金を返された時に何となく真意に気付いたんじゃないかと思い、だからこそ、あんなに晴れ晴れとした顔で「来るわけないか」と呟けたんじゃないかと思う。
苦虫女が見せたまっすぐな視線が、ほのかな希望を持たせてくれた。

決して万人受けする内容とも思えないし、いい映画なのかそーじゃないのかと問われると返答に迷ってしまう映画ではあるのだけれど、個人的には随分と肌に合った映画だったので、他人にはお奨めはしない代わりに、もう一回くらい見てもいいかなっと思った。

≪追記するコーナー≫
まあ、それにしたってよくぞあの蒼井優をここまで地味目な感じにしたもんだ。
というか、蒼井優のまま地味目にした、という感じかな?
確かにこんな感じなら、クラスにいても目立たないというのにある程度の説得力はある。
この監督は美人を地味に化けさせる才能があるのかもしれない。

■状況
109シネマズ佐野にてサービスデー価格で観賞
■対象
ほのぼの映画がお好きな人、蒼井優がお好きな人、自分を探さない旅に興味のある人
■見所
弱々しく話しながらもキレて大声を出すシーンは蒼井優ならではかな?あんな声出せるとは思っていなかったけど。
■教訓
陥れるつもりなら手は出さないほうがいい。その方が刑事告訴に持ち込める。
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by unknown0083 | 2008-07-21 16:00 | 映画

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