【映画】ぐるりのこと。  

d0057574_21422879.jpg■動機
一度見逃したレアもの映画だから
■感想
良い映画だなっと思った。
■満足度
★★★★★★★ まんぞく

■あらすじ
1993年、何事にもきちょうめんな妻の翔子(木村多江)と法廷画家の夫カナオ(リリー・フランキー)は、子どもを授かった幸せをかみしめていた。どこにでもいるような幸せな夫婦だったが、あるとき子どもを亡くしてしまい、その悲しみから翔子は心を病んでしまう。そんな翔子をカナオは温かく支え続け、2人の生活は少しずつ平穏を取り戻してゆく。




■コメント
なんでこの映画を観に行ったのかと言われれば、一度見逃したレアもの映画だからと答えられるのだけれど、じゃあ見逃したときはなんで見たかったのかと言われると、じつは全然思い出せない・・・。
というか思い当たる節が全くない。

別段、橋口亮輔という監督に興味があったわけでもなく、キャストに特に興味があったわけでもなく、内容に興味があったわけでもない。
特にキャストについては、主演の木村多江の事があまり好きじゃない上に、共演のリリー・フランキーの事はだいぶ好きじゃないという取り合わせ。
マイナス×マイナスはプラスになるとは言うが、足したらそれはマイナスにしかならないだろうとも思い、なんでわざわざそんなマイナスになるような組み合わせの映画を見たいと思ったのだろうか、未だに謎ではある。

そんな人間が何かの間違いでこの映画を観てしまったのだが、観て見たらそれは実はとてもよい映画で、結構な当たりくじを引き当てたという感覚を覚えた。

良い映画というのは、「面白い」というのとも「上質な感じ」というのともちょっと違う。
自分の持っている語彙では、ちょっと表現するのが難しい。
とにかく、良い映画だった。

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上映時間は140分とちょっと長めであるにもかかわらず、終わってみればあっという間の事のようで、不要な場面の殆どない見事に整理された脚本と、それを支えた役者の見事な演技(ちょい役を含む)に拍手という感じだった。

あらすじだけ読むと、失った命に対する責任感から、"うつ状態"になるまで自分を追い込んでしまった妻と、それを支えた夫の物語っぽい感じがするが、実はこの映画の主役は時間の流れというか時代の変化というかそういったもので、その流れに流されながらも強い絆を手に入れた一組の夫婦の愛の軌跡を描いた物語のように見えた。

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「幸薄そうな女優」だと思っていた木村多江だったが、どうやら明るい役の方が真骨頂のようだと悟った。序盤の「説教」(だと思っている)のシーンはとても面白く、共演のリリー・フランキーとあわせ二人の演技があまりも自然すぎて、演技を観ていると言うよりは二人の生活を覗き見ているかのような、そんな錯覚に陥った。
徐々にうつに陥っていく感じもしかり。
急にキレるシーンもしかり。
私は彼女の魅力を勘違いしていたらしい事に気がついた。

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映画で描かれる法廷シーンは実際の事件をモデルにしているようで、幼女連続誘拐殺人事件や幼稚園児殺害事件や無差別児童殺傷事件や高級官僚汚職事件など、見覚えのある雰囲気の事件が多々あった。
※事件名は劇中表記のものではなく、なんとなくのもの
その際出演する被告人役や裁判官役の役者があまりに豪華で驚いた。
特に、幼女誘拐殺人事件の被告人の加瀬亮、幼稚園児殺害事件の被害者の親役の横山めぐみ、無差別児童殺傷事件の被告の新井浩文が、あまりにはまり過ぎていて驚いた。
ついでに田辺誠一と光石研にもビックリした。

法廷内でたまに切り替わるカナオ目線が面白かった。
きっとそれが彼独自の観察眼なのだろう。
幼女誘拐殺人事件の被告の指、幼稚園児殺害事件の被害者の親のアンクレット、官僚の似顔絵、退廷する遺族が特に印象に残っている。
うつになった妻に対し、どうしていいかわからないでいるのかとばかり思っていたのだが、こういう些細なところではあるが見るべきところはちゃんと見ているというところを見せてくれたくれたおかげで「なるほど、きっと大丈夫」と思えた。

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失った命に対する向き合い方は、きっと人それぞれなんだろう。どれが正しくて、どれがいいとかいう事はきっとない。自分にあった方法をゆっくりとでいいから見つけていくしかない。それは別にそれに限った話じゃなく、生きていくと言うことすべてに当てはまる何かなんじゃないかと思う。
最後にカナオがぽつりとつぶやく「ひと、ひと、ひと・・・」
人は人との係わり合いの中で生きていくしかないという事実。
そこに逃げ場はないんだきっと。
だからこそ、自分なりに生きていく方法を見つける事が大事なんだ。
偉そうだけど。

≪一言コーナー≫
西田尚美に雰囲気が似ている言うことにふと気付いた木村多江。
とてもよい声をしていたリリー・フランキー。
でも、全く同い年には見えなかったリリー・フランキーと木村多江。
びっくりするほど年をとっていた倍賞美津子と寺田農。
登場と見た目がとても胡散臭かったが、全然胡散臭くなかった寺島進と木村祐一。
随分前から顔だけは知っていたがようやく名前と一致した安藤玉恵。
「ボクはやってない!」とか言い出すんじゃないかと思ってハラハラした加瀬亮。
ちょっとしばらくはそういうひとにしか見えないかもしれない新井浩文。
おなじくしばらくはそういうひとにしか見えないかもしれない横山めぐみ。
この映画に名台詞大賞があったら間違いなく受賞であろう柄本明。
別段、興味はなかった橋口亮輔だったが、今では他の作品が気になってしかたない。

≪蛇足するコーナー≫
映画「松ヶ根乱射事件」とキャストが随分と重複しているのが気になった。
新井浩文、山中崇、安藤玉恵、木村祐一、光石研あたりがそう。
お友達かなんかなんだろうか?

■状況
109シネマズ佐野にてレイトショウで観賞
■対象
生き方に悩む全ての人と、手の小さい男性必見
■見所
官僚三人組の似顔絵と売れない家の絵がナイス
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by unknown0083 | 2008-08-08 21:30 | 映画

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