【映画】容疑者Xの献身  

d0057574_21554739.jpg▼動機
原作の補填と福山視点でのシナリオ再構成
▼感想
随分と原作を丁寧に扱った
▼満足度
★★★★★☆☆ なかなか

▼あらすじ
惨殺死体が発見され、草薙俊平(北村一輝)は後輩と事件の捜査に乗り出す。捜査を進めていくうちに、被害者の元妻(松雪泰子)の隣人である石神(堤真一)が、ガリレオこと物理学者・湯川(福山雅治)の大学時代の友人であることが判明。内海から事件の相談を受けた湯川は、石神が事件の裏にいるのではないかと推理する。




▼コメント
随分前に、この映画の原作本を単行本で読んだのだが、四分の一程読み進めた時点で、
肝心な部分の謎が解けてしまった。

その要因はいろいろある。
 1.作者と「愛」の美学が(おそらく)似ていたこと
 2.事件のあった日が自分の誕生日であったこと
 3.ハウダニット系が好きであること
大きくこんな要因が思い浮かぶ

「献身」というタイトルから、自分がこの殺人者のために何をしてやれるか、どうすれば守れるか、という事を考えたたら、答えはこれしかなかった。非常に単純な話。
もしかしたらこれが「論理的思考」というやつかも知れない。
また、出すべき答えがひとつであるハウダニット系は、悩まずにすむから楽しいということ。フーダニット系はふたつの答えを出さないといけないから逆にまったく考えずに読んでしまうという手抜きな部分があったりする。
※加えて事件が誕生日だったのでトリックはすぐに見抜けた

というわけで、のこり四分の三は答えあわせとして読んでしまい細部を覚えていなかった。
それを補おうとしたのが鑑賞動機のひとつ。

もうひとつは「ガリレオ」が「福山雅治のドラマ」だと思い込んでおり、この物語を湯川視点でどう描くのかという事に興味を持った、というところ。
※ドラマは一話も見ていない

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これはなかなか面白かった。
原作を大事に扱ったのが功を奏したのか「なかなか面白かった」といえる出来栄え。
ちょっとだけ期待していた「福山雅治の”容疑者Xの献身”」ではなかったが、それはそれ、この際関係ない。
「ガリレオ」の名前のないタイトルも、正直「それを出さずに客がわかるのか?」と思ったのだが、この作りであれば入れなくて正解だと思う。

この映画、脚本の段階での取捨選択がうまいというか、拾うべきところは拾い、諦めるべきところは諦め、変えるべきところは変える、そこが非常に潔く、上手だったと思う。
数学者でなければわかり辛い「リーマン予想」をあえて使ってきたことも、アパートの壁が薄い設定に変えたのも、石神の人間味のあるエピソードをいくつか排除してロジッカーとして仕立て上げたのも、みんな関心するところ。
※柔道家を登山家に変えたのはよくわからなかったが

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ただ、足した部分(主に演出)に今ひとつな部分があることも確か。
一番酷いと感じたのは、切り札(ストーカー設定)の本文を先に聞かせた事とそのタイミング。あれでは一瞬でもそういうことを考えた人間のように見えてしまう。実際にはそういうことはなかったんだが、それでもあのタイミングはないだろう。ミスリードにしてもやっていい事と悪いことがある。あれでは本当は考えたと思う人も出てくるかもしれない。

あと、解決した話をまた蒸し返すようなラストシーンは要らなかった。
湯川があそこで泣いて見せることでこの映画は恐ろしく美しく完成したのに、それを見事に壊してしまった。なので、このシーンの代わりに湯川が靖子に真実を語るシーンがほしかった。
※そしてその後の工藤との会合まであれば完璧

ただ、序盤のなんて事のない実験の結果が最後になって効いてくる展開は見事。
これについては文句のつけようがないので、足した部分すべてが悪いわけじゃない。

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さて、この物語の本質はきっと「幾何の問題と見せかけて実は関数の問題」という部分。
この小説のトリックを解き明かし「やっぱりね」と言っていた原作読了後の私では、決してたどり着けない領域がこの物語にはある。

「推理小説のように見せかけて純愛小説」

それはロジカルに真実を求め続けてきた男の不器用な愛の形。
そうすることでしか誰かを守ることはできいないと結論づけた、悲しい男の純粋な愛。
それに気づいたからこそ、終盤からずっと隣の席で泣きじゃくっていた若い子の気持ちが少しはわかる・・・ようになったのかもしれない。

≪追記するコーナー≫
福山雅治はこの映画における自分の立ち位置というものを完全に把握しているように感じた。出すぎず下がらず、目立たず隠れず。カッコイイ人だけに色眼鏡見ていた部分が多少なりともあったが、今回のこれでちょっとこの人を見直した。

堤真一が石神ってどうよ?と思っていたが「ダルマの石神」という設定を変えればいいって事ね。見事なハマリっぷりだった。ハイからローまでこの人はすごい人だ。

いてもいなくてもどっちでもよかった柴崎コウ。この人の出演ている映画で、初めて面白い映画に出会ったような気がするのは気のせいか?しかし歌で邪魔しなかったのはいいことだ。
※というか歌は福山雅治のポイントかな?

松雪泰子が靖子という役・・・というのはおいといて、娘役の金澤美穂の透明感が良かった。
ピュアな感じのするこの少女の存在が、映画をよりいい方向に持っていったような気さえする。

▼状況
イオンシネマ大田店にてレイトショウ価格で鑑賞
▼対象
結構、幅広く楽しめると思う
▼見所
序盤のなんて事のない実験すら大きな複線だったというところ
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by unknown0083 | 2008-10-04 21:10 | 映画

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