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【映画】ブタがいた教室  

【映画】ブタがいた教室_d0057574_21431576.jpg▼動機
絶対的使命感
▼感想
お見事。参りました。
▼満足度
びっくり

▼あらすじ
6年2組を担任することになった新米教師の星(妻夫木聡)は、食べることを前提として子ブタを飼うことをクラスの生徒たちに提案する。校長先生(原田美枝子)にも相談し、卒業までの1年間26人の生徒が子ブタの面倒を交代でみることになる。最初は戸惑っていた子どもたちも、“Pちゃん”と名付けた子ブタを次第にかわいがるようになるが・・・。




▼コメント
とてもいい映画だった。
必ずどこかもれるだろうと想像していた鑑賞の目的は、全てそなえていた。

鑑賞の目的として重要視していたのは、
1.「出された結論」に納得がいくか?
2.「命の器」の”大きさ”と”形”に触れるか?
3.「いただきます」の意味に触れるか?
という部分で、たとえどんなに感動する映画であっても、どれかに触れなかったら容赦なく減点という覚悟で行ったのだが、見事に全部クリアしていた。
お見事、という他ない。


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「ブタを育てて食べることで教師が児童に何かを教える」という映画だと思っていたのだが、実際は何も教えてはおらず、何も教えないことで児童たちが自分で考え、自分たちで学んでいくスタイルだった。
教えるとなるとどうしてもお説教じみた言葉や、独自の理論を展開するようなそういう映画になってしまうところだが、映画の中で児童たちが必死に悩み、考えるのと一緒に、見ている我々も一緒に考える、そういう映画だった。

彼らが最終的に導き出した結論は、鑑賞前に私が予想した結論と寸分の狂いのない同一のものだったのだが、この映画の目的が「みんなで考える」という事に重点を置いていたのと、小学6年生という児童の年齢を考えれば、多分これが一番妥当な落とし所だろうと思う。
というか、鑑賞前にはこれしか考えられないと思っていたのだが、鑑賞中に「もしかしたら違う所にたどり着くかも?」というミスリードがいくつかあったのには驚いた。
最終的にこのミスリード部分がアクセントとなって物語をしめていたように思う。

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この映画のターニングポイントは「名前をつけた」事だと思う。
その瞬間「それはダメだ」と思ったのだが、同じ事を担任が言ってくれたおかげで、この教師の大人目線を信じることができたし、児童の意見を尊重してそれを容認することで、おそらく「教える」から「考えさせる」に転換したのだろうと感じた。
そしてこの教師もまた、先に生まれた者により試され、守られているのだと気づいたとき、この映画の奥の深さと優しさを感じることができた。

何度かあるディスカッションシーンは臨場感抜群。
児童たちは本気で議論している。
「これ、本当にセリフ?」と疑問に思っていたら、本当にセリフじゃなかったらしい。彼らは自分の意見で真っ向から反対派とぶつかっていた事を後に知ってもっと驚いた。

「豚肉は食べる。でもPちゃんは食べない」
「生きる権利があるのになんで殺さなくちゃいけないのか」
「もうただのブタじゃない。食べられない」
「食べるって最初に決めたんだから食べる」
「自分たちで始めたことなんだから、責任を持って終わらせる」
「殺すことと食べることは違う。殺すのはただ奪うだけ、食べるのは命を引き継ぐこと」
「卒業した後もみんなで育てようよ」
など、意見は人それぞれ。
子供らしい意見から、子供らしからぬ意見まで、様々な意見が飛び交った。
中には命のあり方について結構真に迫った意見を述べる児童もいてビックリした。

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どの意見が正しくて、どういう結果が正解なのか、ということはあまり問題視されていないように感じた。考えること、イメージすること、そこから先につなげること、きっとそういうを大切にして行きたいんだろうという感じだった。

美しき日本の言葉の一つ
「いただきます」
本来の意味を間違って覚えている(もしくは間違って育てられている)人もたくさんいると思う。
この映画を見た人はきっと本来の意味に触れるだろう。
そして、できればそれを無駄にすることなく、正しく受け継いでいってほしいなっと思った。


≪追記するコーナー≫
書きたいことは山ほどあるがネタバレすると物語的な面白さは激減するので、あんまり色々書けないのが難点。
しかし答えを知った後、もう一度見てみたい気もする、そういう映画。
また、この撮影に参加できた児童たちは何物にも変えがたき貴重な体験をしたのではないかと思い、とても羨ましいと思った。

≪蛇足するコーナー≫
満足度は相当悩んでこの点数。
持ち点7からの減点方式で行こうと最初から決めていたのだが、思いのほか感動したのと、子供たちの熱演に押されたのとで、番外ポイントにすることにした。
なお、ラストのウルフルズ(トータス松本)がちょっとうるさかったような気もするが、余韻を覚ますのにはちょうどいい塩梅だったと、良いほうに解釈することにした。


▼状況
ユナイテッドシネマ前橋にてサービスデー価格で鑑賞
▼観客
100人強(小学生、お年寄り、20代女性といった客層)、しかし一番観るべき層だと思われるこの年代の子供を持つ30~40代が殆どいなかったのが残念、というか悔しい。

▼対象
テーマについて向き合える人、この年代の子供を持つお父さんお母さん(子供連れでどうぞ)、ベジタリアンではない人、動物モノが好きな人、などなど・・・
▼見所
「トマト」「肉」「魚」のエピソード。

by unknown0083 | 2008-11-03 11:30 | 映画

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