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【映画】ジェネラル・ルージュの凱旋  

【映画】ジェネラル・ルージュの凱旋_d0057574_14541752.jpg▼動機
前作以下って事はないだろう・・・
▼感想
前作以下ってどういうことよ?
▼満足度
★☆☆☆☆☆☆ がっかり

▼あらすじ
チーム・バチスタ事件から1年後、院内の倫理委員会の委員長を務める田口(竹内結子)のもとに一通の告発文が届く。救命救急センター長の速水(堺雅人)と医療メーカーが癒着し、同センターの花房看護師長(羽田美智子)が共犯という内容。彼女が院内調査を開始した矢先、同様の告発文を受け取っていた厚生労働省の役人・白鳥(阿部寛)が再び現れる。




▼コメント
こういう事はあまり言いたくないんだがあえて最初に。

本作「ジェネラル・ルージュの凱旋」、
もしくは前作「チーム・バチスタの栄光」を見た人でもしも
・面白いと感じた人
・つまらないと感じた人
・こんなもんかと感じた人
・なにこれ?と感じた人
など、何か感じ入るものがあった人がおられましたら、
海堂尊の原作小説をお読みになることをお奨めします。

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さて、前作からしてヒドイ出来栄えであったものを、何がどう間違ってしまったのか、続編を作るなどと暴挙にでてしまったTBS。あまりの呆然具合に「もしかしたらすごい傑作になっているのかも?」という奇跡を信じてみたのだが、結果はやっぱり、というか当然の結末。
前作以上に原作の魅力がスポイルされているとんでもない映画になってしまっていた。

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本作の最大のミスは「前作の設定を踏襲してしまった」という事に尽きると思う。
原作はいわゆる「キャラクター小説」で、登場人物の魅力のみで本編を引っ張って行き、そこに関わる医療や行政の問題点を原作者の分身たる人物(主に白鳥だったり速水だったり)に語らせ、それを田口というキャラクターのフィルターを通して感じさせることで物語が成立しているのに、この映画では登場人物の誰にも魅力を感じない。

田口は相変わらず単なるダメ人間で、白鳥はひたすらに嫌味なヤツ、今回主役のジェネラル速水も状況が読めないダメ医者、猪突猛進のわがまま坊やに成り下がってしまった。
これのどこを楽しむのだろう・・・?

なにか面白いことをやろうとしたのか、オリジナルの殺人事件を出してきたのはいいけど、原作を知っているとすぐにコイツだとわかってしまうようなつまらないものだったうえ、犯人役だった松阪大輔投手のニセモノみたいな人が「ヘタ、大げさ、わざとらしい」の三拍子そろった大根役者で、ますますますます興を削いだ。

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かろうじて良かったと思ったところは、
・ジェネラルの演説がそれなりにかっこよかった ※原作とはちょっと違うが
・トリアージで見捨てられる人とズルする人を見せた
・野際陽子
というところぐらいで、あとは総じてダメな映画だった。

最後に、気になるところを二点ほど。
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一つ目は、支店長がどうして資料を田口に託したのか。
バチスタ・スキャンダルの結末は、「バチスタチーム」の結末と同様に原作と映画版で異なる。
確かに原作ではバチスタ・スキャンダルで利を得た人間は田口ひとりで、この件で院長をも凌駕するほどの権限を手に入れることに成功しており、それを院内外の関係者はみんな知っているという状態だが、映画版ではそういう描写は一切なかったはず。
それどころか映画版の田口の院内評価は「使えない医者」というイメージの方が強いはず。
だから原作の田口になら資料を託す意味はわかる。
しかし映画版の田口にはその意味はない。
そんな田口になぜ資料を託したのか?
それが良くわからなかった。
※これを確認するためにわざわざまた見る気にはならない・・・

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二つ目は、白鳥が小児科に入院したこと。
原作を知っていると、これは「田口・白鳥シリーズ」の二作目「ナイチンゲールの沈黙」の複線なんじゃないかと勘ぐってしまう。※「ジェネラル・ルージュの凱旋」は三作目
やるつもりなの?本当に?
無理だと思うなこのメンバーじゃ。
あきらめたほうがいいと思う。

というわけで、今回の感想はいったんおしまい。

≪蛇足するコーナー≫
前作鑑賞当時は他のシリーズを読んでいなかったため、原作の田口と姫宮を足したらあーなったのかと思った映画版の田口だったが、他のシリーズ(小説版)に出てきた姫宮を見たところ当時の想像と全然ちがっていたので、映画版の田口がますます嫌いになった。
※原作「チーム・バチスタの栄光」内で姫宮は「ぼんやり娘」「氷姫」という単語のみで登場

それとありとあらゆる所に大人の事情が垣間見える映画だった。
東宝枠から黒瀬真奈美と高嶋政伸、監督枠から堺雅人、それとどういうわけか殆どの主要キャストと競演経験のある尾美としのりなど、そういう時代じゃなくなったんだから、そういうキャスティングはやめてほしい。
※って事は姫宮はやっぱり長澤まさみか?っと思ってしまう・・・

最後に、いてもいなくてもいいキャラに成り下がった如月翔子に合掌。
折角なので「ナイチンゲールの沈黙」の主役の浜田小夜は本仮屋ユイカでお願いします。

▼状況
MOVIX伊勢崎にてサービスデー価格で鑑賞
▼観客
20名弱(なぜか男性多し)

▼対象
原作未読者は見ないほうがいいと思います。原作読者はもっと見ないほうがいいと思います。
▼見所
「ジェネラル・ルージュの凱旋」というタイトルで、
”いずれジェネラルは戻ってくる。その時こそ、桜宮の空にドクターヘリが飛ぶだろう”
という希望を持たせているのだから、彼の悲願でもあるドクターヘリが彼の見ている前で飛んでしまっては(しかも導入までしている)ジェネラルはもう戻ってこないと捉えられかねない。
【映画】ジェネラル・ルージュの凱旋_d0057574_15121642.jpgそういうところをこの映画の製作者達は考えたのだろうか?
そういうところをよーく考えもせずに
「ヘリ飛ばしときゃ感動するんじゃね?」
とかいう単純な思いつきで作品を壊しちゃったんだろう。
バカにすんな。
※フジテレビ系のドラマ「コードブルー」への対抗意識ならもっとサイテーだ。

by unknown0083 | 2009-03-12 18:50 | 映画

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