【映画】コドモのコドモ  

d0057574_15462721.jpg▼動機
高崎映画祭新人賞受賞、甘利はるな
▼感想
凄く丁寧にかつ真摯に製作された映画
▼満足度
★★★★★★★ まんぞく

▼あらすじ
負けん気の強い小学5年生の春菜(甘利はるな)は、ある日幼なじみの男の子と興味本位で“くっつけっこ”という遊びをした。後日学校で性教育の授業を受けた春菜は、妊娠したかもしれないと不安になる。大人たちに言えないまま、膨らんでいくお腹に戸惑いつつも、春菜と友人たちは自分たちだけの力で赤ん坊を守ろうと決意する。




▼コメント
谷村美月が出演するので随分前から名前だけは知っていた映画で、タイトルから想像できる内容がちょっとアレな感じ(※後述の蛇足コーナーへ)だったので、DVD鑑賞でいいかなっと思っていたのだが、
映画「ブタがいた教室」で主役級の役を任されていた女の子が主演するという事と、
その女の子がこっちの映画「コドモのコドモ」の方で高崎映画賞新人賞を受賞したという事で、
俄然劇場鑑賞したくなった、というのが鑑賞動機。

高崎映画祭でも3/28(土)に一回限りの上映を行うのだが、こちらの方がすこし先に見られるので滅多に行かない深谷シネマまで足を伸ばした。
その甲斐は十分にあった。

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なんというか、久しぶりにちゃんとした日本の映画を観た気がする。
チェンジアップでも変化球でもなくちゃんとしたストレートの日本映画を。
小学5年生が妊娠するという題材自体は、確かに変化球かもしれないが、そこには実に丁寧にかつ真摯に映画とテーマに向き合う人々がいたように思う。
どのシーンをとっても真剣勝負の様相。

原作漫画があるようだがそちらは未読で、でも多分、テーマや結末は変えていないと思う。
というか、恐ろしく原作に忠実に作られているような気さえする。
恐らく原作でも「命に対する正しい向き合い方」のようなものを真摯に描いていたんじゃないだろうか?
そしてそれは「子供だからこそ考え付かない付かないこと」と「大人だからこそ思いも寄らないこと」を孕んで展開する物語の中に、うまくパッケージされていると思う。

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また、一見すると「子供たちの反抗」に見える物語も、よく見てみれば周りに「自分達が頼っても大丈夫だと信じられる大人」がいないことがそもそもの原因だとわかる。
私は、子供が嫌いな大人のタイプは大きく分けて「話を聞かない大人」と「信じてくれない大人」の2種類だと思っている。だから大人に対して一生懸命にヒミツにしていた事にとても納得できたのかも知れない。
またこの「ヒミツ」の部分が上手く物語の中に緊張感を持たせて最後までハラハラした。
※最終的に子供達だけになったが、彼らはちゃんと自分達の限界をしっていて、それを越えた部分では積極的に専門家に頼ろうとしていたのも好感をもった。

映画は完全に「子供目線」で進められていて、また自然とそちら側の視点で見られるような作りになっている感じがし、それが当たり前のように子供目線で映画を鑑賞した。
しかし、仮に大人目線で鑑賞し、例えば教師役の麻生久美子に感情移入しながら子供たちの暴走にともに腹を立てていたとしても、最後にはすっきりと後味のいい映画になっているんじゃないかという気がしたのが不思議だった。
それはきっと、現実の命の前では机上の命など無力だという事を、大人として悟ったからかもしれない。

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この映画はまだ見てない人には是非鑑賞をお奨めしたい映画なので、結末どころか内容すら殆ど書いてない。
手を抜いているわけではなく、真剣に考えた上で書かないことに決めた。
それはこの映画が真剣に作られた映画だと感じたから。

作り手がいかに真剣だったか、それがちゃんと作品に乗っている。
こういう日本映画がもっと沢山あってもいいような気がする。

≪追記するコーナー≫
どうしても書いておきたい名シーンが終盤に二つあった。
それは柄本祐の何気ない会釈と、一年後におじいさんが少し若返っていたこと。
何気ないがとても色々な事を考えさせられる、名シーンだと思った。

≪一言(では済んでないかもしれない)コーナー≫
「えらいねぇ」という一言で春菜を救ったおばあちゃん(草村礼子)の台詞がとても良かった。
「顔色見ればすぐにわかる」と言っても想いも寄らないことには気付かない。それが大人。
お友達役の子役に平岩紙っぽい子がいて、なんだか和んだ。
優等生にあるまじき「なんで役に立たない男子ばっかり!」はまさに緊急事態が生んだ名台詞だと思った。
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もしかしたらジェンダーフリー思想のある教師だったんじゃないかと思う麻生久美子。自らの思想に伴う理想の押し付けと、その現実感のなさ加減からくるダメっぷりに度々イライラしたのだが、これはそういう人をちゃんと演じていた麻生久美子のスコア。途中で切れちゃう所と、その後の成り行きを厳しい視線で見ていたところなど、こういう思想の持ち主がそういう思考で見ていたかが手に取るように分かるのがステキだった。
※あーゆータイプの性教育は男女分けてやったほうがいいと思っている

d0057574_1617122.jpg何ひとつ問題のないパーフェクトな演技だった甘利はるな。
「みんなしねだし」はものすごい破壊力だった。
なお、映画「ブタがいた教室」でも「この子どこかで見たことがある・・・」と思っていたのだが、それは私の「SQL」の師匠だという事にふと気付いた。なんかそのまんま幼くなったらあんな感じかもという雰囲気。なんだかとても好感触なところで決着。しかも同郷だという事を知ってさらに好感。ちょっと応援してみようかなと思いつつ、まあ、とりあえずは変な路線に行かずにこのまま正しくがんばって欲しいと思う。

≪いつもよりも余計に蛇足するコーナー≫
こういうスキャンダラスな物語が好きで満足度が高いと思われても困るので、
同一題材のドラマ「14才の母」について触れておく。
”若年妊娠ドラマ”の代名詞になっている「14才の母」は見ていて腹が立つばかりだった。
それは結局のところ「双方全てを承知で行った結末」から始まる自業自得の物語を、一生懸命正当化しようとしてどんどんどんどん破綻していったという、どうしようもないスパイラルに陥ったのが原因だったと思う。
そのくせ最後には必ず誰かが助けてくれると思っている、甘ったれ感がどうしようもなくイライラしたのも覚えている。
そもそも本人達のことも大して描けてないのに(特に父親役の三浦春馬が酷かった)周りの大人の事情ばかりをピックアップしすぎる意味がわからなかった。
まあ、多分そっちの方が書いてて楽だったからなんだろうけど。
そういう色々な意味で「このドラマはタブーに挑んだ割には真面目に作る気ないな」と気付いてしまったので、途中から真面目に見ることを放棄した。
※同じ状況でただノリの軽いだけに見えた映画「JUNO」は見る気も起きなかった

▼状況
深谷シネマにて鑑賞
▼観客
15人ほど(大人を連れてきたコドモの姿があったのに驚き)

▼対象
「14才の母」に感動した人とか呆れた人とかこの類のテーマがキライじゃない人。
▼見所
一大プロジェクトに向けて徐々に結束する児童達
▼予断
この映画がちゃんと撮影され、ちゃんと上映されるまでのいきさつのような物をシネマ内の掲示板で読んだ。反対意見が結構でた様子だったが、最後は市長がちゃんとバックアップしてくれたようだ。市長の英断に拍手。
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by unknown0083 | 2009-03-20 10:30 | 映画

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