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【映画】重力ピエロ  

【映画】重力ピエロ_d0057574_2037529.jpg▼動機
駄作だと思ってた小説の映画化
▼感想
そういうことだったのかっ!
▼満足度
★★★★★☆☆ なかなか

▼あらすじ
遺伝子を研究する泉水(加瀬亮)と芸術的な才能を持つ春(岡田将生)は、一見すると仲の良さそうな普通の兄弟だ。そんな二人の住む街では、謎の連続放火事件が発生していた。泉水と春は事件に深く踏み込み、家族を巻き込みながら次第に家族の過去にも近づいていく。




▼コメント
原作読んだ時には全く気がつかなかったが、
「最強の家族」という言葉で巧妙にオブラートに包んだ、
非常に絶望的な物語だと言うことが良く解った。

ピエロは最後に落下する事でその役割を果たす。
いくら楽しそうにしていても絶対に重力には逆らえない。
そして、遺伝子という重力はその本人を引き付けて離さない。
蛙の子が蛙でしかないように、
犯罪者の子供は犯罪者にしかなれないものだ。

そういう私好みの絶望的なメッセージが内包されていたことに、
原作を読んだ時点では全く気づくことが出来ず、

・煙に巻くようにシーンチェンジを繰り返す構成
・無意味な会話シーン
・名台詞を吐くためだけのシチュエーション
・何より、序盤で全ての読みきれる底の浅さ

などに、終始イライラしながら読んでいた事を
ちょっともったいなく思った。

おそらくこの映画がいわゆる「最強の家族」の愛と絆の物語であるなら、
タイトルは「無重力ピエロ」になっていたはず。
この物語が「重力ピエロ」である必要性は、
こういう解釈を含めた上での命名だったに違いない。

【映画】重力ピエロ_d0057574_20381011.jpg
渡部篤郎の台詞にあった通り、
「想像力のそのさらに向こう」を知るために、
自らの想像力を総動員して初めて気づくことの出来る領域。

誰がその命を肯定したとしても、
生まれて来てはいけなかったという人間が存在する。
自ら命を絶つことも許されぬその魂には、
一切の救いも、赦しも受けることが認められず、
ただただ深く、暗く、悲しい絶望感があるのみ。

なるほど・・・
こんなテーマをさりげなく内包しているとは、奥が深い。
こんな大それたテーマを表立ってやるわけにはいかないからなぁ・・・
だからこんなに巧妙に隠したわけだ。
もしかしたら他の伊坂幸太郎作品もこういうのあるんじゃないだろうか?
ちょっと気になってきた。

≪追記するコーナー≫
小説的なクロスカッティングが使えない代わりに、
キャストで遊んできた感じが見えた。
「アヒルと鴨~」から岡田将生、
「陽気なギャング~」から鈴木京香。
もしかしたら他にもいるかもしれない。

≪一言コーナー≫
【映画】重力ピエロ_d0057574_20451519.jpg【映画】重力ピエロ_d0057574_2045312.jpg
【映画】重力ピエロ_d0057574_2046786.jpg【映画】重力ピエロ_d0057574_20461824.jpg
和泉の殺意を映像化したことで行動に矛盾が発声した人物が発生。
スタイリッシュな岡田将生が吐く事で名台詞にちょっとした説得力。
「無差別」感に拍車をかけた鈴木京香のキャスティング。
回想シーンの小日向文世の髪型は笑いどころ?
春の部屋と前日とでキャラが全然違う夏子さんに唖然。
もっともっと卑劣でも良かった渡部篤郎。
そしてあまりにもそっくりすぎな子役に拍手。

≪蛇足するコーナー≫
おそらくこの映画は原作と同様、
「ステキな家族の物語」と認識され感動を与えるか、
「理解できない犯罪者とその家族」と嫌悪されるか、
多くの人がそのどちらかになると思う。
私と同じ感想を持った人がいるかどうか、
これをアップした後のブログ巡りがとても楽しみになってきた。

▼状況
MOVIX伊勢崎にてレイトショウ価格で鑑賞
▼観客
およそ30名(女性客多し)

▼対象
想像力が服を着て歩いている人
▼教訓
想像力は大事

▼関連
イルマーレ
※どこにも救いのない悲劇的な物語をハッピーエンドのように装っている様は全く一緒

by unknown0083 | 2009-06-01 23:36 | 映画

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