【映画】さまよう刃  

d0057574_1532980.jpg▼動機
「空気人形」までの待ち時間に「カイジ」と迷って
▼感想
佐藤浩市と志田未来で今すぐ作り直せ
▼満足度
★★☆☆☆☆☆ いまいち

▼あらすじ
凄惨な事件によって、大切な一人娘を亡くした長峰(寺尾聰)。ある日、娘を殺した人物の名前と居場所を偶然知った長峰は、犯人の少年の一人を殺害。後日、もう一人の犯人を追う長峰から、殺害の自供と現行の少年法への憤りをつづる手紙が警察に届く。一方、長峰を追う捜査本部の織部(竹野内豊)は、法と正義のはざまでやるせない思いを抱いていた。




▼コメント
「東野圭吾作品から人物描写と心理描写を取っ払ったら何も残らないんだな」
っと感心させられた作品。

そのくらいこの映画には何もない。
感情も葛藤も緊迫感も焦燥も、本当に何もない。
出がらしのカラカラ。
こんなの全然「さまよう刃」じゃない。

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そもそも、この物語の主人公が変わっている?
私はてっきり長峰役の寺尾聰だと思っていたのだが、映画版の主人公はどうやら若手刑事役の竹野内豊だったようだ。

この物語の醍醐味は、長峰の被害者から被疑者へという変貌と葛藤(というか自己正当化)、そしてさらにその先を追う緊迫感、そして無事思いを成し遂げられるか、という部分なのに、そこを綺麗さっぱりカットして刑事視点を増やすとか、もやは暴挙としか考えられない。
だったらだったで徹底的にそっちに拘ればいいのに、中途半端に原作プロットに合わせようとするからどうしようもない作品に仕上がる。

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というか根本的な事だが、なんで寺尾聰をキャスティングしたんだろう?
老眼が始まっている設定とはいえいくらなんでも寺尾聰はやりすぎだ。
これは見る前から解かっていた事ではあるが、寺尾聰の内へ内へとこもる演技が、内から産まれる絶望と怒りと外へ外へと放出させていく長峰のキャラクターに合っているとは到底思えない。

それを考えると長峰役は佐藤浩市あたりが無難な選択だろう。
こちらであれば、この物語最大のハイライトである伴崎殺害も忠実に再現してくれたんじゃないだろうかと思う。
※その上で多少の汚れ役も意に介さない志田未来を娘役にキャスティングすれば観客の同情も買えて完璧な布陣

なお、ラストの変更は失笑もの。
この類の事をやらかす人間が「自分の命の天秤」を他人に握られただけの事で、この先の人生において震え上がるような「恐怖」を刻み付けられるとは思えない。
この経験を「武勇伝」として嬉々として語るのが関の山だろう。
要するに無駄骨ならぬ、無駄死にだ。
全く、一体何が書きたかったのか。

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東野圭吾作品はその読みやすさせいでついつい見落としてしまいそうになるが、その読みやすさの裏側でひとつの物語を成就させるために、かなりこだわった描写を積み上げており、それこそが作品世界に命を吹き込んでいるんだなと改めて思い知った。
それだけがこの映画の収穫。

≪追記するコーナー≫
娘が反対側通行している時点で色々な「都合」が見えた映画だった。
d0057574_15432246.jpg死んだはずの伴崎が微妙に動いていたので、実は長峰が殺したんじゃなくて中井が止めを刺した展開に変えたのかと思ったのだが、その後そこに触れることなく最後まで行ってしまったので本当にガッカリ。
それと、事件を花火大会の日にしなかったのは、花火大会に悪い印象を与えたくなかったからなのか、雪の中で苦労している風の映像がとりたかったからなのか、どっちなのか・・・

≪蛇足するコーナー≫
ラストを改変するなら、
原作シチュエーションで長峰は打つ、菅野にあたる、が、長峰も打たれる、長峰は菅野に弾が当たったことを確認して死亡、しかし菅野は一命を取り留める、回復後、菅野は裁判へ。
という流れが、長峰も警察も観客も含めた全員を救うプロットだったはず。


▼状況
ユナイテッドシネマ前橋にてサービスデー価格で鑑賞
▼観客
500人入るシアターに4,50人程度というのは寂しいが当然の結果

▼対象
原作読んでいない人向け。 ※読んでいたら酷さに耐えられない疑惑
▼見所
見所が見事に全部なくなっていた所が凄い
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by unknown0083 | 2009-10-10 13:15 | 映画

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