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【映画】幸福な食卓  

【映画】幸福な食卓_d0057574_1151221.jpg■状況
コロナシネマにてレイトショウで観賞
■動機
北乃きいへの同情票
■感想
青春ものとしては好き

■あらすじ
三年前の父(羽場裕一)の自殺未遂をきっかけに、母(石田ゆり子)は一人暮らしを始め、成績優秀だった兄(平岡祐太)は突然農業を始めた。
佐和子(北乃きい)の中学生活最後の始業式の朝、父は突然父親を辞めることを宣言する。
重たい気持ちで登校した彼女の前に、転校生の大浦勉学(勝地涼)があらわれる。




■コメント
随分と長いこと、松竹系のシネコンで予告編流れてました。
その時は別段興味もなかったんですが、日本テレビ系ドラマ『14才の母』内での彼女の扱いの酷さに、気が変わって見てみることにしました。
※テレビ局はこうやって他局つぶしや自局優遇を謀るからカチンときます

原作は瀬尾まいこの小説で、書店で見かけたことはありますが読んだ事はありません。
大体原作通りの内容とのことです。
少し風変わりな家族を舞台にした、少女の成長と家族の再生を描いた物語です。

表面上は壊れた家庭のように見えますが、物語が佐和子の視点で進むうえ、佐和子の独特な表現もあいまって、あまりそれは重大性を持っていません。
※なにかおかしい?っと聞く佐和子の声が聞こえるようです。

テーマとは別に、よく出来ているのは佐和子&大浦の青春シーンだと思います。
大浦の口癖である「おぅっ」を佐和子が一人になった時にっと小さくつぶやくシーンなど絶妙に表現されており、照れてつつも懐かしい気持ちにさせられます。

佐和子を演じた北乃きいは等身大の女の子を上手に演じており、とりわけすごいのは出演者全員に対して同じように接していないことがわかる演じわけをしているところでしょうか。
父の前では娘の顔、母の前では子供の顔、兄の前では妹の顔、大浦の前では女の子の顔と、実に器用に演じ分けをしており、それぞれに彼女の魅力の一端を垣間見ることができます。
それ以外にも、暗い表情と明るい表情をうまく使い分けたりと、彼女をみているだけでも楽しいです。

この佐和子の相手役となる大浦勉学を演じた勝地涼がどこをどう切り取っても中学生には見えないのですが、これは大浦勉学という人物設定上、同年代のキャストが使えなかったためで、それに気付いてしまえばあまり違和感ありません。
この大浦勉学というキャラクターは、女性作家が女性目線で書いた「理想とする同級生男子像」だと思います。成績そこそこ優秀、思いやりがあり、お金持ちで、人生の先を見据えつつ、目の前の人間も大切にする。まあ・・・中学生ではいませんね、こんな人。
※そもそも、中学・高校生くらいの男子の精神年齢が女子のそれを上回ることはまずないと思いますので、ここはやはり3~5くらい上のキャスティングでよいと思います。

メインテーマである佐和子の成長と家族の再生についてですが、こちらはあまりうまくは出来ていません。
大浦に関するエピソードがこちらも呆然とする程あっさりと起き、佐和子がそれを受け止められないのと同時に、観客も受け止められない気持ちを共感できるという演出は見事なものですが、これをきっかけにして佐和子が成長を始めるというのは納得いきません。
これだけ理想的に作りこんだ大浦勉学というキャラクターが、使い捨てされてしまっている印象を受けます。

家族の再生についても、役割を重要視していた家族から関わりを重要視する家族に変わろうとする表現で、それはそれでうまくいっているのですが、やはりきっかけがきっかけだけに納得し難い部分が残ります。
※恐らく母の作った食卓にみんな集まるというルールに起因するものだと思いますが

で、一番納得いかなかったのはラストシーン。
佐和子が土手を歩くシーンで、Mr.Childrenの「くるみ」が流れ、時々振り返りながらも前に進んでいく佐和子をバックに、エンドロールが流れない。
「あれっ?エンドロールが流れないぞ?どうした?」
っと本気で心配しました。
北乃きいが実に良い顔で歩いていたので、それを見せながら終わりにして欲しかったです。

いろいろ書きましたが、どういうわけか北乃きいへの苦言がひとつもありません。
この映画に関しては立派に主演女優だったと思います。
実際、彼女を見ているだけでなんとなくしあわせな気分になりました。

≪追記するコーナー≫
「知らないところで誰かに守られている」
っという台詞は単体で聞くと非常にいい台詞なんですが、個人的にはいらなかったと思います。
それは鯖のエピソードでちゃんとわかるので、あえて言葉にすることでちょっと残念な感じになってしまいました。
どうしても使いたければ別の人に言わせるべきだったでしょう。
ところで、梅雨になると調子が悪くなる謎は残ったままですが、劇中にヒントがあったのでしょうか・・・

■対象
出演者のファン、特に北乃きいファンは必見、それとミスチルファン
■見所
序盤の「弟はクワガタに夢中」を聞き逃すことなかれ

by unknown0083 | 2007-02-09 23:20 | 映画

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