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【DVD】暗いところで待ち合わせ  

【DVD】暗いところで待ち合わせ_d0057574_23101068.jpg■状況
弟のライブラリより拝借
■動機
田中麗奈観賞
■感想
圧巻、田中麗奈。

■あらすじ
視力をなくした本間ミチル(田中麗奈)が暮らす家に、近所の駅で起きた殺人事件の容疑者・アキヒロ(チェン・ボーリン)が逃げ込む。ミチルはなんとなく誰かがいるような気配を感じるが・・・




■コメント
弟がわざわざ置いていったDVDのうちの1本。
乙一の原作があるらしいが未読。内容の殆ど知らずに見た。
※田中麗奈が視覚障害というくらいは知っていたが

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画面の中には目の見えない田中麗奈がいた。
なべ、お皿、掃除機、階段、電話、等。
見えなくても家の中ならなんとなくわかるものらしい。
いや、若干の光は感じているのだろう。
それは、階段を登る時にスイッチを入れることでも分かる。
こういう細やかな描写のおかげで、視覚障害というリアリティを感じることができた。
もちろん、それに答えている田中麗奈も凄い。

ただ、この映画はこれが出来てスタートラインというハードルの高さ。
ミチルは基本的に家に引き篭もっているので、物語を動かすのはアキヒロ役のチェン・ボーリンと、カズエ役の宮地真緒。

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チェン・ボーリンは上手かった。
佐藤浩市を相手に一歩も引かない。
ただたどしい日本語が、日本語に難があるのであまりコミュニケーションをとらずどんどん孤立していく外国育ちの日系人という説得力を持たせる。
これがペラペラだったりすると台無しだったところ。
気配を殺す時の視線、駅を覗く視線、ミチルを見守る視線。
目線での演技が出来ない代わりに、というわけではないと思うが、彼の目線の演技が印象的だった。
北京語をつかって電話で母親と話す時の表情も印象に残った。

宮地真緒はもうちょっとな印象。
常に田中麗奈と一緒に映っているので、可哀想といえば可哀想だが。
現代っ子風の宮地真緒と引き篭もり地味な田中麗奈のコントラストは非常に面白かった。

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演技面・演出面の細やかさから比べると、物語は若干踏み込みが足りない印象を受けた。
事件当日の行動を冷静に考えると"運転手が気がつかなかった"というのはまずありえない。結果として、居眠りでもしていない限り全てお見通しであるはずのシチュエーションが揃ってしまっている。
また、一度外出した際に折れてしまった白杖が、いつの間にか復活しているのもよくない。ミチルは一人で外出する気はないのだから、折れたら折れっぱなしにしておくだろう。というか、その状態でどうやって帰ってきたのだろうか・・・?
とまあ、こんな状態。
自ら課したハードルをクリアするに至らず、という感じ。

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しかし、ひとつの事件を皮切りにミチルの日常が少しづつ変わっていく日記の様な映画だと思うと、これが良く出来ているように思う。
田中麗奈とチェン・ボーリンの二人が驚異的な演技力でこの作品世界を作り上げているのだろう。演技のあまりよろしくない役者同士でやったら、そもそも映画にすらならないはず。
それをちゃんとした作品にまで持っていった主演の二人が凄いのだ、と感じた。

長い割には全然退屈しない、素敵な田中麗奈の世界(もしくは天願監督の世界)が見られた。

≪追記するコーナー≫
【DVD】暗いところで待ち合わせ_d0057574_23243746.jpg白杖を持った人にクラクションならしたり、バカヤロー気をつけろ!なんていうのは田舎でもありえないだろうと思うのだがどうなんだろう。
少なくとも北関東の田舎のほうでは、道を空けて通路を譲っていた。
※そして、そういうの分かるらしく会釈してくれていた

■対象
エンターテイメント性がなくても寝ない人、障害者ものに抵抗を感じない人など
■見所
田中麗奈全般、ミチルのダンス、紅い視界
※首絞められると視界は紫色になるんだがまあいい

by unknown0083 | 2007-12-22 23:27 | 映画

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