【DVD】12人の優しい日本人
2008年 01月 19日
「キサラギ」と比較されているようなので
■感想
三谷幸喜の作品は合わないかも
■満足度
★★★☆☆☆☆ あんまり
■あらすじ
ある殺人事件の裁判のためごく一般の市民12人が集められた。被告が若くて美しいことから議論は概ね無罪で決まりかけたとき、1人がそれに異を唱えたことから議論は白熱紛糾する。
■コメント
無いな。
と言うのが見終わった直後の感想。
見終わったあとこれほどフラストレーションの溜まった映画は初めてだ。
それは怒りや苛立ちと言ったものから来るものではなく、失望から来るものだ。
ひとつの殺人事件を12人の陪審員が有罪だ無罪だと言いながら議論を続け、少しづつ事件の真相を明らかにしていく物語。
と思っていた。
だが実際は違う。
この映画は議論をしている様子を見せるのが目的であり、観客の意思や考えは全く置いていかれる。シナリオ上にはいくつかのツッコミどころがあるのだが、それを拾い上げてくれる登場人物がおらず、それに観客が気付いてしまうといつまでたっても解消されず、モヤモヤしたまま終劇を迎えてしまうことになる。こういう推理めいた議論ものとしては致命的な部分だろう。
つまり、登場人物と一緒になって色々考えるタイプの人は絶対に楽しむことの出来ない作品になっている。
それがとても残念。
だが、役者の演技は凄い。
イライラさせながらも二時間弱を見せ続けるだけのパワーを感じたのは、ひとえにその場所で本当に議論が行われているかのような錯覚に陥ったからだろう。
中でも塩見三省、相島一之、梶原善、豊川悦司が凄い。
相島一之と梶原善は三谷幸喜劇団の一員らしく出番も多かったような気がした。
塩見三省はロクにしゃべらないのに凄い存在感。
豊川悦司は随分と若い。が随分と上手い。※ちなみに語り口はこの頃から同じ。
企画に関する目のつけどころは非常に良いと思う。
陪審員制度がもしも日本にあったらという着眼点は非常に面白い。
奇しくも、日本でも2008年の秋から裁判員制度が始まる。それよりも17年も前の1991年の段階でこの映画が公開されていたというのは非常に驚きだ。先見の明があるというかそういう感心はする。※同、舞台版はそれより1年前に公演されている。
アイデアはよく、それに対して役者はちゃんと答えているのだが、それでもフラストレーションが溜まるのは、私の見方が間違っていたせいかも知れない。相性が悪かったと言言い換えることも出来る。
だが、別に悪い映画というわけではない。
そんなことを言っても説得力は無いと思うが・・・
誰かと一緒に見て、あーじゃないこーじゃないと色々言える環境にあれば楽しいかも?
コッソリ一人でDVD見ているよりは、そっちの方がいいかもしれない。
≪追記するコーナー≫
「キサラギ」とよく比較されている様だが、実際は全然違う映画。
ワンシチュエーション映画という以外の共通点はない。
「キサラギ」は一緒に推理を楽しめる作りになっていたが、こちらにはそれがない。
同じような観かたをしてしまうと、驚くほどフラストレーションが溜まる結末。
どちらかというとぼーっと観て、ニヤニヤっと笑う感じがこの映画向きかも。
■状況
レンタルDVDにて
■対象
三谷幸喜万歳の人、考えないで映画を観る人向け
■見所
被害者は事故死、被告は無罪。と言うのが私の出した結論。誰もこの意見を代弁してくれなかった為、フラストレーションの溜まるだけの結果となった。
by unknown0083 | 2008-01-19 20:45 | 映画