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【映画】結婚しようよ  

【映画】結婚しようよ_d0057574_21211824.jpg■動機
中ノ森文子と吉田拓郎コンピ
■感想
こりゃすごい。
■満足度
★★★★★★★ まんぞく

■あらすじ
平凡なサラリーマンの卓(三宅裕司)の楽しみは、毎晩家族4人全員で食卓を囲むこと。ある日、彼が駅前で吉田拓郎の曲を演奏するバンドに合わせて歌を熱唱していたとき、充(金井勇太)という青年と知り合う。卓は一人暮らしだという充を夕食に招き、妻の幸子(真野響子)と長女の詩織(藤澤恵麻)、次女の歌織(AYAKO)に紹介する。




■コメント
吉田拓郎をの大ファンであるという佐々部清監督が吉田拓郎の曲を詰め込んで作ったヒューマンドラマらしい。特に吉田拓郎にも思いいれもないが、中ノ森文子が出ているらしいことと、予告編の作りが非常にいい感じだったので見てみようと思った。

いや、びっくりした。
元々、そこそこ楽しめればいいくらいの気持ちだったし、最悪は中ノ森文子のチェックだけしておけばいいやくらいのつもりでいたのだが、意外や意外。
立派な感動作になっていた。

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予め断っておくと、私は吉田拓郎世代ではない。
というか、私が知っている吉田拓郎は、"Kinki Kids"のギターの先生というくらいのもので、その番組内で氏を尊敬するフォークシンガー達の語る「一体どれだけ多くの人達に影響を与えてきたか」とか、そういうことにはあまり詳しくない。
が、そんな私でも「落陽」と「結婚しようよ」くらいは知っている。
正直「そんなレベルで果たして楽しめるかどうか」というのが懸念事項でもあり、予めそこそこの期待度だけに止めておいた言い訳でもあるのだが。

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実は、物語に関して言えば別段どうという事はない映画だったりする。
メインストーリーは娘の結婚話。
実は表面上幸せだが内部はバラバラ・・・だとか、娘は親に内緒でよからぬ事を企んで・・・だとか、そういう後ろ暗いところは一切ない、いたって裏表のない平和な家庭の話。
娘は結婚したい、父親は反対だ、という基本パターンから、娘がどう説得するか、父がどう折り合いをつけるか、というところがお話のメインとなる。
なんというか、観ているだけでちょっと幸せになる家庭の話だった。

【映画】結婚しようよ_d0057574_21454363.jpgキャスティングがとても良かった。
バンドをやる次女役に本物のバンドマンである中ノ森文子を配役した所がよかった。この役を彼女以上にやってのける人物を思いつかないくらいの適役だと思った。
歌織のキャラクターがなんとなく実際の彼女を投影したようなキャラクターだったのもあるかもしれない。言動行動全てが、なんとなくソレっぽくて、彼女が動いたり喋ったりするだけで、なんだかワクワクした。
あまりにもはまり過ぎていて、今後彼女を見る度に「焼酎の似合う女」と思ってしまうかも知れない自分にドキドキしている。
そして(現在の)中ノ森BANDのメンバー全員をちゃんと連れてきたところにも好感を持った。

また、おっとり顔の藤澤恵麻がしっかり者の長女を演じる事で、なんとも嫌味のない可愛らしい姉になっていたのが印象的だった。
隠れコメディ担当でそういうシーンはちゃんと笑わせてもらった。
※劇中何度か出た「藤澤キック」がホント傑作だったw

【映画】結婚しようよ_d0057574_21225050.jpg多分、基本は音楽映画で、吉田拓郎の歌をどれだけ流すかがメインとなっていたような気はする。
だがどの曲も違和感なく挿入され、そのうちの多くは実際にガガガSP(画像左)か中ノ森バンドの演奏(もしくは中ノ森文子のソロ)で聞く事ができ、なんとなくそれはそれで非常に満足だったりした。

そうとは知らず、父の昔の夢を引き継ぐ事になった歌織。
人間は時間を超える事はできないが、楽器は時代を超えてふと昔の記憶を手繰り寄せる。
ふと邂逅した父の昔馴染みと、現在は立場が変わっている実情など、なんだかじんわりさせるシーンが多くてちょっと感動した。
回想シーンの造形が昭和40年代のそれを随分と再現していたように思った。

だが、残念だった事がたった一つだけある。
それは、オーディションのシーンでオーナーの岩城滉一とモト冬樹が飛び入りする場面での話。あれは非常に素晴らしいシーンだったのだが、モト冬樹がギターソロをしている間中、ずっとベースのYUCCOに被せてしまっていたので非常に気の毒だったというところ。
全く本編とは関係ないが、気になったのはここくらいだった。
※ベースのYUCCOが一番見栄えがいい

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ここでラストかと思わせて、更にワンシーン続き、そこでもひとつサプライズがあるなど、徹底した「これでもかっ」という演出をしているものの、それが嫌味に感じないのは、この映画をつつむ優しさだったり思いやりだったりするものの力だろうと思った。
※というかそこもラストではなかったのだが・・・

妻と二人だけになった家で、一見バラバラになってしまったかのように見える家族が、実は今まで以上に強い絆で結ばれている事を感じるラストに、結構感動した。

≪追記するコーナー≫
あ~・・・。
アップした後に気付いたので追記。
この映画が感動的だったのは、メインキャスト達が、自分のことだけじゃなく、他人のこともちゃんと考えているなっという感じが見えたからだと気づいた。
時には自分の事よりも他人の事を優先したりと、そういう思いやりの心が少しづつ積み重なったんじゃないかな?なんて思ってみたりした。

≪追記するコーナー≫
真野響子の若かりし頃担当の女優が本当にそっくりで「もしや2役か?」とも思ったが、流石にそんなテクノロジーはないだろう。これにはほんとにびっくりした。
ついでにもう一人、充役の金井勇太が吉岡秀隆に似ていて、岩城滉一とのツーショットがあったらどうしようかと、見当違いな方向でワクワクしていた。

≪蛇足するコーナー≫
定員100人弱のシアターに約6割くらいのお客の入りだったが、平均年齢は恐らく60歳を超えていたような気がする。
上映後、ざっと周りを見回したが、私一人が圧倒的に平均年齢を下げていた。
上映は先週からやっているので、おそらく先週はもっと凄かったろう。
やはり吉田拓郎という人は凄い影響力を持った人なのだなと、改めて感じた。
ついでに、サントラというものが初めて欲しくなった。

■状況
109シネマズ佐野にてサービスデー価格で観賞
■対象
吉田拓郎ファン、中ノ森BANDのファン、藤澤恵麻のファン、娘のいる父親、結婚を控えた人、家族団欒にこだわる家族、などなど、老若男女問わず楽しめると思われる。
■見所
各種演奏シーン、藤澤キック。

by unknown0083 | 2008-02-11 10:45 | 映画

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