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【映画】4分間のピアニスト  

【映画】4分間のピアニスト_d0057574_20301344.jpg■動機
MOVIX CINEMA SELECTION
■感想
驚いた。
■満足度
★★★★★★★ まんぞく

■あらすじ
80歳になるクリューガー(モニカ・ブライブトロイ)は、60年以上女子刑務所でピアノを教えている。彼女は何年も貯金して新しいピアノを購入するが運送に失敗し、その責任を追及される。早急に彼女のピアノレッスンを受ける生徒を探す必要に迫られたトラウデは、刑務所内でジェニー(ハンナー・ヘルツシュプルング)という逸材と出会う。




■コメント
随分前に1度だけ予告編が流れ、その時に妙に気に入った映画。
いよいよ地元でも上映開始となり、満を持しての観賞。
非常に良い映画だった。

【映画】4分間のピアニスト_d0057574_203444100.jpg
主人公は二人の天才ピアニスト。
女子刑務所の中という閉鎖空間で繰り広げられるヒューマンドラマ。
というと非常に聞こえはいいが、実際の物語は深く、暗く、重く、そして悲しい。
映像も終始どこか薄暗く、その情緒を出すのに一役買っている。

実は、あんまり書く事がない。
というのも、書きたいところが完全にネタバレエリアだからだ。
なのでちょっと困っている。
公式ページに大体のあらすじが書いてあるので、あらすじを追って色々書いてもしょうがないし、そもそも最初からきっちりあらすじを書けるほど、記憶力は良くない。
とても難しい映画だが、理解不可能なほど難解かといえばそんなことはない。

以下、さりげなく物語の核心部分に触れているので、観賞予定の方は要注意。

【映画】4分間のピアニスト_d0057574_2034533.jpg
私は、クラシックに対してもナチス統制化のドイツ事情にも全く詳しくない。
それを扱っている以上、ある程度の知識があれば、より深く理解できただろうという事はわかる。
それでもなお、この映画を良い映画だったと思えたのは、二人の天才ピアニストの心の昇華が、観ていてちゃんと感じられたからで、もうそれだけで感無量。
途中随分と鬱々とさせられるのは確かだが、このラストで全部帳消した感じ。

クリューガーとジェニー、この二人の出会いが面白い。
ピアノの生徒を探すクリューガーの元に看守がジェニーを連れてきた事から二人は出会うのだが、その時クリューガーはジェニーを音楽以前の問題で門前払いする。
納得の行かないジェニーが暴れ看守を殴り飛ばしながら、感情に任せて弾いたピアノの音色こそが本当の二人出会い。
クリューガーにとっては音楽こそが全ての判断基準だとすぐに分かる良いシーンだった。

ジェニーが己の魂の全てを賭けて演奏したであろう決勝ステージが最高によかった。
クリューガーの告白を受けてさえ、自分を語ろうとはしなかったジェニーが、最後の演奏でぶつけた思いの丈は、確かにクリューガーに届いたと感じた。
音楽とは、つまりは人。
以前のクリューガーが信じ求め描いていた音楽とは違うものだったかもしれないが、ジェニーを認めることでクリューガーもまた救われたに違いないと思った。
ラスト、ジェニーもクリューガーの為だけにお辞儀をする。
二人の師弟関係が結実した瞬間に物語は終幕。
お見事。

≪追記するコーナー≫
以降、思った事をダラダラと。
二人の関係は「ドラ猫」と「調教師」のようだった。
持つものと持たざるものとの確執がリアルだった。
男の嫉妬が随分とみっともなく描かれていた。
どこにいても足を引っ張る人間はいるのだと感じた。
二人が衣装を変えるところが微笑ましかった。
戦時統制下のドイツについて詳しければより深く理解できたような気がした。
シューマンという作曲家の名前を覚えた。
この映画は実話を元に構成されているのかと疑問に思った。
が、特にそういうことはなさそうだった。
観終わった後にチラシ広告を見たが、なんだか的外れな煽り文句が面白かった。
登場人物がみな歪んでいて、普通のいい人が一人もいなかったのが印象的だった。
じつはそここそが一番の好みかもしれない。

■状況
MOVIX伊勢崎にてサービスデー価格で観賞
■対象
戦時統制下のドイツ事情にある程度明るい人であればより深く楽しめると思う
■見所
冒頭、鏡を叩き割る、ラストの演奏など

by unknown0083 | 2008-02-21 18:50 | 映画

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