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【映画】トウキョウソナタ  

【映画】トウキョウソナタ_d0057574_7445287.jpg▼動機
予告編にて興味を引かれたため
▼感想
難しいなぁ・・・
▼満足度
★★★★☆☆☆ むずかし

▼あらすじ
仕事に没頭する毎日を送っている平凡なサラリーマンの佐々木竜平(香川照之)は、ある日突然、長年勤め上げた会社からリストラを宣告されてしまう。一方、世の中に対して懐疑的な心を持っている長男・貴(小柳友)は家族から距離を置くようになり、一家のまとめ役だったはずの妻・恵(小泉今日子)にも異変が起き始めていた。




▼コメント
どこから手をつけたらいいのやら・・・。
東京に住むひとつの家族の崩壊と再生について描いた映画、と言ってしまえばそれだけなのだが、そんとなくそれだけでは無いような気がするのは気のせいだろうか?

この家族、いわば「ごっこあそび」の家族。
父は「威厳ある父親役」を演じ、
母は「理解ある母親役」を演じ、
兄は「奔放な兄」を演じ、
弟は「素直な弟」を演じている。

崩壊してみせる機会さえあれば、すぐにだって崩壊しそうな家族。
それがひとつまたひとつと綻びをみせ、バラバラと崩れ落ちる。

「威厳」を保つための職を失った父。
「奔放」に限界を感じることとなった兄
「素直」さが時に人を傷つけることに気づいてしまった弟。

では、母は?
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家族が臆病に毎日を過ごし、徐々に余裕を失い、自分のことだけを必死に考えて生きるようになる。それをぼんやりと眺めている。自分が関与できることといえば「お母さん役」の枠をはみ出さない程度のこと。母はいつだって世界の中心にいる。
周りだけがグルグルと動き、それをぼんやりと見渡す事しか出来ない世界の中心。
そこは唯一無二の自分の世界であり、いつだって孤独でしかいられない世界。

本当は「理解」することで理解されたかったと気づいてしまった母。

終盤において彼女が巻き込まれる事件が、彼女を世界の外側へと押し出す。
自分で動かなければ何事も始まらない世界へ。

この家族のごっこ遊びは、
父が威厳を捨て、母が世界の中心を離れ、弟が素直さを取り戻し、兄が責任感を得ることで終着する。

【映画】トウキョウソナタ_d0057574_748173.jpg
だれも助けてはくれない。
そこに神はいないだろう。
これらの結末は全て偶然が運んでくれたもの。
物語の結末の向こう側で、知らず知らずのうちに家族の中心を担うことになってしまった弟に、私は少しだけ同情した。


≪追記するコーナー≫
とはいえ、色々と破綻しているんだよな・・・
最初に今から侵入したのはなんだったのか?
後の登場人物の複線ではなさそうだったし意味があったのかなかったのか?
「何でも受け入れる準備がある」のだったら退職しなくても良かったのでは?
ハローワークだって整理券があるんだから並ばなくたっていいのではないか?
弟がピアノ教室の前で足を止めたのは先生に惹かれたのか、そのくらいなら自分にも出来そうだと思ったからなのか?
後半、走りまくるのは、走って走ってくたびれ果てて、それでも帰るところがある喜びを演出したかったものなのだろうか?
また、いまどき米軍に憧れる日本人なんてそうそういないよっというところだったり、
清掃員だって普通に着替えるところくらいあるだろう部分だったり、
誘拐事件が「誘拐ごっこ」にしか見えなかったりとか、
色々と分からないことが多すぎる。

ただ、津田寛治の家庭のような雰囲気(特に娘がコワイ)だったら確かにあの結論に至るだろうし、中国人スタッフの方が安い賃金で雇えるのも確かだし、そうして多くの企業が質の悪い方向へ転落していくのも事実だし、そういう説得力のある部分もある。

そして演出的に優れていると思ったのは光の演出。
不自然にならないやわらかい光があたり、言葉や表情はなくても、何か心が晴れたんだなっと気付く演出が、個人的には気に入った。
※最初に見たときはただのホラーにしか見えなかったが・・・

まあ、そんなこんなで、全て辻褄を合わせるのは非常に難しい、感じたところ次第な映画の様相。
こういう映画は難しい・・・


≪一言コーナー≫
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ある意味情け無い父親役がはまっいた香川照之。本人的にはいい感じなのだろうか。
壊れた母親役といえばこの人、というところまで来たような気がする小泉今日子。
ピアノを弾いているように見えなくて気の毒だった弟君。
井川遥は魔女やら怪しげな新興宗教の教祖やら、そんな役が出来そうな具合になってきた。
結局、一番生き生きしていたのが役所広司だったのではないかという皮肉。


▼状況
MOVIX伊勢崎にて特別鑑賞価格にて鑑賞
▼観客
30名程度(客層はバラバラ)

▼対象
むかしゴッコあそびに夢中になった少年少女だった人たちへ
▼見所
井川遥と役所広司

by unknown0083 | 2008-10-28 21:45 | 映画

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